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猫の毛が全体的に薄い…考えられる病気について

2025.12.22

「最近、うちの猫の毛が薄くなってきた気がする…」
「お腹や足の毛がまばらになってきたけど、歳だから仕方ないのかな…」

そう思って様子を見ていませんか?

ちょっと待ってください。

猫の毛が全体的に薄くなる症状は、老化ではなく重大な病気のサインかもしれません。中には命に関わる病気が隠れているケースもあります。

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【重要】猫の全身的脱毛で考えられる病気

1. ホルモンの異常

甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)

中高齢猫で最も多いホルモンの病気です(2)。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、体の代謝が異常に高まります。脱毛だけでなく、以下のような症状が同時に現れることが多いです。

  • よく食べるのに痩せてきた
  • 落ち着きがなくなった
  • 攻撃的になった
  • 水をたくさん飲む、おしっこが増えた
  • 吐いたり下痢をしたりする
  • 毛並みが悪くなった

甲状腺機能亢進症では脱毛が主症状ではありませんが、過剰なグルーミング(毛づくろい)や毛質の悪化によって毛が薄くなります(3)。

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クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になる病気です。猫では非常にまれですが、脱毛、皮膚が薄くなる、お腹が膨れるなどの症状が見られます(5)。

2. 皮膚炎・アレルギー性疾患

実は、猫の全身的な脱毛で最も多い原因は、アレルギー性皮膚炎です。

猫は痒みを感じると、人間のように「掻く」だけでなく、舐める・噛むという行動をとります。この過剰なグルーミングによって、広い範囲の毛が抜けてしまうのです。

猫に多いアレルギー性皮膚炎には次の3つがあります。

  • ノミアレルギー性皮膚炎: ノミの唾液に対するアレルギー反応
  • 食物アレルギー: 特定の食材に対するアレルギー反応
  • アトピー性皮膚炎: ハウスダストや花粉などの環境アレルゲンに対する反応

完全室内飼いでもノミは侵入します。飼い主が外から持ち込んだり、ベランダから入ってきたりするケースも少なくありません。

当院では、日本獣医皮膚科学会認定医の春日陽一郎先生による皮膚科外来を設けています。原因の特定から治療まで、皮膚疾患に精通した獣医師がサポートします。


3. 全身性の病気(糖尿病・慢性腎臓病・心筋症など)

糖尿病、慢性腎臓病、心筋症などの全身性疾患によって、被毛が全体的に薄くゴワゴワしてくることがあります。

病気のために皮膚に十分な栄養が届かなくなり、健康な被毛を維持できなくなるためです。

これらの病気は脱毛以外にも様々な症状を引き起こします。「なんとなく元気がない」「食欲が落ちた」などの変化があれば、必ず獣医師に相談してください。


4. 腫瘍随伴性脱毛(しゅようずいはんせいだつもう)

これは、最も緊急性の高い脱毛です。

まれなケースですが、体の中の腫瘍(特に膵臓がんや胆管がん)に関連して脱毛が起こることがあります(7)。脱毛に加えて、光沢のある、つるつるした皮膚がみられるのが特徴です。腫瘍の影響による食欲不振や体重減少を伴います。

これらの腫瘍は、手術が難しく、予後が悪いことが多いです(7)。ただし、腫瘍を手術で完全に取り除けた場合は、毛が再生する可能性もあります(8)。

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動物病院ではどんな検査をするの?

「病院に連れて行くと、どんなことをされるんだろう…」と不安に思う方もいるかもしれません。

当院では、以下のような流れで原因を調べていきます。

1. 詳しい問診

問診では次のようなことを伺います。

  • いつから症状があるか
  • 痒がっている様子はあるか
  • 食欲や元気はあるか
  • 他に気になる症状はないか

飼い主様からいただく情報が、診断にとって非常に重要です。小さなことでも構いませんので、気になることは全てお伝えください。

2. 皮膚検査

脱毛部位の毛や皮膚の一部を採取し、顕微鏡で確認します。寄生虫や細菌、真菌(カビ)がいないかをチェックします。

3. アレルギー検査

必要に応じて、アレルギーの原因を特定する検査を行います。

4. 皮膚生検

場合によっては、皮膚の一部を採取して詳しく調べます。

5. 血液検査・尿検査・画像検査

甲状腺機能亢進症、糖尿病、慢性腎臓病などの全身性疾患が隠れていないかを調べます。腫瘍の有無を確認するためにレントゲンや超音波検査を行うこともあります。


治療法は?完治するの?

治療法は原因によって大きく異なります。ここでは主な治療法をご説明します。

甲状腺機能亢進症の場合

完治させるためには、甲状腺を摘出する手術を行います。しかし、手術後、甲状腺機能が逆に低下することで体調不良を招くこともあるため、内科的に管理することも多いです。手術をしない場合は、甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を飲み続けます。薬が合わない場合には、甲状腺ホルモンの材料であるヨードを抑えた専用の療法食を与えて管理します。

治療していくなかで、隠れていた慢性腎臓病が表面化するなど、さまざまな副作用が現れることがあるため、治療中は定期的な検査が必要です。

アレルギー性皮膚炎の場合

アレルギー性皮膚炎は、原因に応じて次のような治療を行います。

  • ノミアレルギー: ノミ駆除薬の定期投与
  • 食物アレルギー: 低アレルゲン食(アレルギーを起こしにくい食事)への変更
  • アトピー性皮膚炎: かゆみ止めの薬、スキンケア

当院の皮膚科外来では、日本獣医皮膚科学会認定医の春日陽一郎先生が、それぞれの猫ちゃんに最適な治療法を提案します。

全身性疾患の場合

それぞれの病気に対する治療を行います。病気をコントロールすることで、被毛の状態も改善することが期待できます。

腫瘍随伴性脱毛の場合

残念ながら、根本的な治療は難しいことが多いです。ただし、腫瘍が手術で完全に取り除ける場合は、毛が再生する可能性があります(8)。

「様子を見る」は危険です。今すぐ受診を。

猫の脱毛の原因には、寿命や生活の質に大きく影響するようなものも含まれています。

猫は痛みや不調を隠す動物です。飼い主が気づいた時には、すでにかなり病状が進行していることも少なくありません。脱毛は、猫の体調不良を伝えてくれる貴重なサインのひとつです。

「おかしいな」と思ったら、それが受診のタイミングです。

行徳どうぶつ病院の皮膚科外来

当院では、日本獣医皮膚科学会認定医の春日陽一郎先生の皮膚科外来を設けています。

こんな飼い主様にご利用いただいています

  • 他院で治療を受けたが改善しない
  • 原因がはっきりしないと言われた
  • より詳しい診断・治療を受けたい
  • 猫の皮膚トラブルで悩んでいる

市川市・浦安市・江戸川区からアクセス良好

行徳駅から徒歩圏内で、市川市、浦安市、江戸川区南部にお住まいの飼い主様に多くご来院いただいています。駐車場も提携していますので、お車での来院も可能です。

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まとめ:猫の毛が薄くなったら、自己判断せず必ず受診を

猫の毛が全体的に薄くなる瀰漫性脱毛には、さまざまな原因があります。

  • 甲状腺機能亢進症、先端巨大症、クッシング症候群などのホルモン異常
  • ノミアレルギーなどの皮膚炎
  • 糖尿病・腎臓病などの全身性疾患
  • 命に関わる腫瘍随伴性脱毛

「老化だから仕方ない」と決めつけることが、一番危険です。

適切な診断と治療によって、多くの場合は改善が期待できます。特に、日本獣医皮膚科学会認定医による診察を受けることで、正確な診断と効果的な治療が可能になります。

愛猫の毛が薄くなってきたと感じたら、様子を見ずに今すぐ当院にご相談ください。

あなたの「気づき」が、愛猫の命を救います。

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監修

行徳どうぶつ病院
院長 名古孟大


参考文献

(1) Hobi S, Linek M, Marignac G, et al. Clinical characteristics and causes of pruritus in cats: a multicentre study on feline hypersensitivity-associated dermatoses. Vet Dermatol. 2011;22(5):406-413.
(2) Cornell University College of Veterinary Medicine. Hyperthyroidism in Cats. 2024.
(3) Peterson ME, Kintzer PP, Cavanagh PG, et al. Feline hyperthyroidism: pretreatment clinical and laboratory evaluation of 131 cases. J Am Vet Med Assoc. 1983;183(1):103-110.
(4) Niessen SJM, Church DB, Forcada Y. Hypersomatotropism, acromegaly, and hyperadrenocorticism and feline diabetes mellitus. Vet Clin Small Anim. 2013;43:319-350.
(5) Boland LA, Barrs VR. Peculiarities of feline hyperadrenocorticism: Update on diagnosis and treatment. J Feline Med Surg. 2017;19(9):933-947.
(6) Schmeitzel LP. Sex hormone-related and growth hormone-related alopecias. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 1990;20(6):1579-1601.
(7) Caporali C, Albanese F, Binanti D, Abramo F. Two cases of feline paraneoplastic alopecia associated with a neuroendocrine pancreatic neoplasia and a hepatosplenic plasma cell tumour. Vet Dermatol. 2016;27:508-e137.
(8) Tasker S, Griffon DJ, Nuttall TJ, Hill PB. Resolution of paraneoplastic alopecia following surgical removal of a pancreatic carcinoma in a cat. J Small Anim Pract. 1999;40:16-19.