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犬の涙やけ|市川市行徳の獣医師が原因・治療を解説【行徳どうぶつ病院】

2026.01.09

愛犬の目の周りに茶色いシミができて、毎日拭いているのに全然よくならない…。
そんなお悩みはありませんか?

こんな症状はすぐに受診を

  • 目の周りが赤茶色に変色している
  • 涙が常に溢れている
  • 目を気にして掻いている
  • 目やにが増えた
  • 目が充血している

これらの症状がある場合、動物病院での診察が必要です。

今すぐLINEで相談・予約する


涙やけとは?どうして起こるの?

涙やけは、目の周りの毛が赤茶色に変色する状態です。医学的には「流涙症(りゅうるいしょう)」と呼ばれます(1)。

本来、涙は「鼻涙管(びるいかん)」という細い管を通って鼻へ流れていきます。ところが何らかの理由でこの流れが妨げられると、涙が目から溢れ出てしまいます。

溢れた涙に含まれる成分が毛と反応して、茶色く変色させてしまうのです。特に白や薄い色の毛を持つ犬種では、変色がとても目立ちます。


涙やけの原因|なぜ涙が溢れるの?

流涙症の原因は大きく分けて「涙の出口が詰まっている」場合と「涙が作られすぎている」場合の2つに分類されます(1)。

原因1:鼻涙管の詰まり・狭くなっている

最も多い原因の一つが、涙の通り道である鼻涙管が詰まったり、狭くなったりすることです(2)。

鼻涙管が詰まる・狭くなる原因には、以下のようなものがあります(3):

  • 生まれつき鼻涙管の出口がない(先天性閉塞)
  • 炎症が起こっている(感染症など)
  • 異物が詰まっている(ゴミ、毛など)
  • 腫瘍ができている

これらの異常は、コッカー・スパニエル、トイ・プードル、ゴールデン・レトリーバーなどの犬種で多く見られます(2)。

原因2:短頭種特有の骨格の問題

パグ、フレンチブルドッグ、シーズーなどの短頭種では、顔の骨格が短いため、鼻涙管の構造自体が変形しています。

研究では、すべての短頭種犬種で鼻涙管の構造が変形していることが報告されています(4)。

また、パグやシーズーなどでは「内眼角内反(ないがんかくないはん)」といって、まぶたが内側に巻き込む状態がよく見られます。これにより鼻涙管の出口が塞がれて、涙が正常に流れなくなります(5)。

短頭種の涙やけは、骨格という「生まれつきの構造」が原因です(4)(5)。そのため、フードを変えたり拭き取るだけでは改善しません。専門的な診断と治療が必要になります。

涙やけの原因を調べる(LINE予約)

原因3:目のトラブルによる涙の出すぎ

目に刺激があると、その刺激から目を守ろうとして涙が大量に作られます(1)。

主な原因は以下の通りです。

  • 眼瞼内反症(がんけんないはんしょう):まぶたが内側に巻き込み、毛が角膜をこすって刺激になる(5)
  • 逆さまつ毛:まつ毛が眼球を刺激する(5)
  • 角膜潰瘍(かくまくかいよう):角膜に傷がついた状態
  • 結膜炎:白目の部分が炎症を起こしている
  • 緑内障:眼圧が上がる病気

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動物病院での涙やけの診断方法

当院では以下のような検査を行い、涙やけの原因を特定します。

フルオレセイン染色検査

目に蛍光色素を垂らし、鼻から排出されるかを確認します。鼻涙管の詰まり具合を調べる検査です。

シルマー涙液検査

涙の産生量を測定し、涙が出すぎていないかを判断します(1)。

目の詳細な観察

まぶたの構造、角膜、結膜の状態を細かく確認します。緑内障や角膜潰瘍など、重大な病気がないかをチェックします。


涙やけの治療法|原因に合わせた根本治療

涙やけの治療は、それぞれの原因に合わせて行います。

治療1:鼻涙管洗浄

鼻涙管が詰まっている場合に行う治療法です。麻酔をかけた状態で、生理食塩水を使って鼻涙管内の詰まりを洗い流します。

洗浄で詰まりを解除できることもあれば、何度も繰り返す必要がある場合もあります。

治療2:外科手術

繰り返しの洗浄でも改善しない場合や、生まれつきの構造異常がある場合は、外科手術を検討します。

涙の通り道を外科的に開通させる手術は専門性が高く、必要に応じて大学病院などの二次診療施設へご紹介します。

また、まぶたが内側に入り込んでいる(眼瞼内反症)場合や、まつ毛が異常な場所から生える(異所性睫毛)場合は、まぶたの形成手術を行います(7)。

治療4:目のトラブルへの治療

角膜潰瘍、緑内障、結膜炎など目のトラブルがある場合は、内服薬や点眼薬で治療します。

特に緑内障や角膜潰瘍は放置すると重篤な状態になる可能性があります。少しでも異常を感じたら、すぐに受診してください。


自宅でできる涙やけのケア|あくまで「補助」として

ご自宅でできるケアは、あくまで動物病院での治療の補助です。涙やけの根本原因を治すことはできません。

  • 1日2〜3回、ぬるま湯で湿らせた清潔な布で目の周りを優しく拭き、乾いたタオルで水分を取る
  • 目の周りの毛を短くカットする
  • ステンレス製の食器を使用する(プラスチックは細菌が繁殖しやすい)
  • 清潔な水を与える

「拭き取りだけで治そう」とせず、必ず動物病院で原因を特定してください。


よくあるご質問

フードを変えれば治りますか?

食物アレルギーが原因の場合、適切な除去食試験で改善する可能性があります(8)。ただし、鼻涙管の詰まりや短頭種特有の骨格問題など、他の原因がある場合はフード変更だけでは治りません(4)(5)。まずは原因を特定することが重要です。

市販の涙やけ用サプリメントは効果がありますか?

涙やけの原因は鼻涙管の詰まり、骨格の問題、目の病気など多岐にわたります(1)。サプリメントでこれらの問題が解決することはありません。まずは動物病院で原因を特定してください。

短頭種の涙やけは治らないのですか?

短頭種の場合、骨格という生まれつきの構造が原因のため(4)(5)、完全に治すことは難しい場合があります。しかし、鼻涙管洗浄や外科手術で改善できるケースもあります。諦めずに、まずはご相談ください。

トイ・プードルの涙やけが治りません。どうすればいいですか?

トイ・プードルは鼻涙管の詰まりが起きやすい犬種です(2)。鼻涙管洗浄や、場合によっては外科手術が必要になることもあります。当院で詳しく検査し、原因に合わせた治療をご提案します。


まとめ|涙やけは必ず動物病院で原因を特定しましょう

涙やけは、鼻涙管の詰まり、まぶたの異常、短頭種の骨格問題、食物アレルギー、目の病気など、さまざまな原因で起こります(1)(2)(4)(5)。

拭き取るだけでは根本的な解決にはなりません。

特に、緑内障や角膜潰瘍など、放置すると重大な状態につながる病気が隠れている可能性もあります。

愛犬の涙やけが気になる場合は、自己判断で様子を見ず、動物病院で原因を特定し、適切な治療を受けることが、愛犬の目と健康を守る最善の方法です。

愛犬の涙やけ、放っておかないでください。一緒に原因を見つけ、治療していきましょう。


監修

行徳どうぶつ病院
院長 名古孟大


引用文献

(1) Sandmeyer LS, Grahn BH. Diseases and surgery of the canine nasolacrimal system. In: Gelatt KN, ed. Veterinary Ophthalmology. Vol 2. 6th ed. Wiley-Blackwell; 2021:990-1000.
(2) Merck Veterinary Manual. Nasolacrimal and Lacrimal Apparatus in Animals. 2024.
(3) Burn JB, Kim SY, Park SA, Komáromy AM, Pirie CG. Use of 3-dimensional printing in surgical exploration of a nasolacrimal duct obstruction in a dog. Can Vet J. 2020;61(2):129-134.
(4) Sahr S, Dietrich A, Oechtering G. Evaluating malformations of the lacrimal drainage system in brachycephalic dog breeds: a comparative computed tomography analysis. PLoS One. 2021;16(9):e0257020.
(5) Sebbag L, Sanchez RF. The pandemic of ocular surface disease in brachycephalic dogs: the brachycephalic ocular syndrome. Vet Ophthalmol. 2023;26(Suppl 1):31-46.
(6) Jackson HA. Food allergy in dogs and cats; current perspectives on etiology, diagnosis, and management. J Am Vet Med Assoc. 2023;261(S1):S17-S26.
(7) Yi NY, Park SA, Jeong MB, Kim MS, Lim JH, Nam TC, Seo K. Medial canthoplasty for epiphora in dogs: a retrospective study of 23 cases. J Am Anim Hosp Assoc. 2006;42(6):435-439.
(8) Wills J, Harvey R. Diagnosis and management of food allergy and intolerance in dogs and cats. Aust Vet J. 1994;71(10):322-326.