診療予約

ブログ

神経科ブログ④ 初めて神経病に関わったお話

2023.01.27

今回は初めて神経病に関わった時のお話をさせて頂きます。獣医学科2年生の時でした。まだ、研究室にも入っておらず、一般教養と専門科目を勉強していた時期です。母はかわいそうな犬や猫を見ると放っておけない性格で、学校から帰宅すると母によって保護された犬、猫、ウサギ、カエル、カメ、チャボなどがいることはザラでした。
ある日の夕方、帰宅すると15㎏位の雑種犬(おじいさん)が庭にいました。近所を放浪しており、動物保護センターに連れていかれてはかわいそうということで保護したとのことでした。首輪をつけていたので、飼い主を探してみましたが見つかることはなく、太郎という名前をつけて一緒に暮らすことになりました。しばらくすると、てんかん発作を頻繁に起こすようになりました。初めて見る壮絶な様子でしたので本当に驚きました。
当時、大した知識はありませんでしたが、脳の病気らしいことは想像がついたので放射線学教室の先生にCT撮影をして頂いたところ、大きな脳腫瘍が見つかりました。MRIを持っている施設も少ない、脳の手術をする先生もほとんどいない、薬による対症療法しかない、発作を抑える薬も限られている、脳腫瘍に効果のある薬はほとんどない、そんな時代だったので治療には限界がありました。3か月ほどで亡くなってしまいましたが、投薬や注射による発作のコントロールを学生時代に経験しました。
その翌年、CT検査、診断や相談にのって頂いた神経病専門医の下につき、神経病学と画像診断学を学ぶことになります。
現在の状況と比べてみると、MRIの普及によって今まで診断できなかった脳の病気が診断できるようになり、治療可能なことも増えてきました。大学や大きな施設の病院では脳の手術や放射線治療も行っています。抗てんかん薬の種類も増えたことで発作のコントロールがしやすくなり、薬の安全性も高まりつつあります。その他、飲んでいる薬が血液中にどれくらい取り込まれているかを測定する検査(血中濃度)ができるようになったことで薬の効果を個別に評価できたり、脳脊髄液の検査によって感染、炎症、腫瘍などを診断することもできます。
神経疾患は難しい病気であることも多いですが、ここ20年ほどで診断・治療方法がかなり進歩していますので、今後も情報のアップデートを常に行っていきたいと思っています。大学病院など二次施設へのご紹介も積極的に行っておりますので、お気軽にご相談下さい。

行徳どうぶつ病院
神経科担当獣医師
大内 詠子