2026.01.16
院長ブログ
ポケモン最新作『ポケモンレジェンズZA』は、これまでの作品とはバトルシステムが大きく異なることが特徴です。ドラクエ的なターン制バトルから、スマブラめいたアクションバトルへと変化しました。
ここまでシステムが大きく変わると、これまでポケモン廃人たちが培ってきた経験がまったく役立たなくなってしまうように思われます。実際、別ゲームから流入してきた層がポケモン廃人を一掃するのでは、という声もありました。
ところがどっこい、蓋を開けてみれば、勝率の高い上位プレイヤーは、軒並み「これまでポケモンをやってきた人」でした。過去作のランクマッチ上位プレイヤーが、今作でもやっぱり強かったんです。
なぜか。大きな理由のひとつは、彼らが、「タイプ相性をばっちり理解していた」からです。
ゲームには、「火遁が風遁に強い」みたいな相性関係がつきものです。弱点を見つけ出しそこをつくことが強敵攻略の鍵となります。ポケモンもご多分に漏れません。しかし、このゲームが異様なのは、相性関係の複雑さが群を抜いていることです。
たいていのゲームでは、キャラクターの属性として用意されているものなんて5つか6つ。しかしポケモンには、18ものタイプが存在します。これだけでもうややこしい。組み合わせは324通りですからね。それでも、「みずタイプがほのおタイプに有利」とか直感的にわかりやすいものだけならいいですが、「ゴーストタイプはエスパータイプに有利」みたいな、覚えるしかないやんそんなん、というものが死ぬほど存在します。
しかも、タイプの間で有利不利のあり方が一様ではありません。みずタイプの攻撃がほのおタイプに「こうかばつぐん」になり、逆にほのおタイプの攻撃がみずタイプに「こうかいまひとつ」になるというわかりやすい対称性を持つものもあれば、くさタイプの攻撃はいわタイプに「こうかばつぐん」になるのにいわタイプの攻撃はくさタイプに「こうかいまひとつ」にならない(ダメージが軽減されない)という非対称なものもあります。エスパータイプ同士では互いに「こうかいまひとつ」になるのにゴーストタイプ同士だと互いに「こうかばつぐん」になるとかね。全然類推を許してくれない、324通りの完全暗記ものになっているんです。こんなの、一朝一夕に覚えられるわけがありません(私だって小学生の頃からやってなかったら絶対覚えられてないし、なんならいまだに怪しいところがある)。
戦い方が変わってもタイプ相性は同じ。だから、タイプ相性があやふやな新規プレイヤーは、たとえアクションゲームが得意だったとしても、タイプ相性が頭に入っているポケモン廃人に蹂躙されてしまいました(そしてはやくも、オンラインには廃人しか残っていません。悲しい)。
ポケモンで勝つためには、自分のポケモンは何タイプで、相手のポケモンは何タイプで、どちらが有利、という、ポケモンの分類・グルーピングへの理解が不可欠なわけです。
というわけで、ここから本題。動物を飼うときにも、その動物がどんなグループか、という分類の知識はとても大事だというお話をしたいと思います。
行徳どうぶつ病院は、モルモットやハムスターなどの齧歯類を連れた方がよく来られます。
齧歯類のトラブルで多いのは、不正咬合です。歯が伸びすぎてしまって餌が食べられなくなる異常ですね。
不正咬合の予防方法は、その動物に合った適切な餌を与えることに尽きますが、大事なことが2つあります。
ひとつは、齧歯類には、前歯だけが伸びるものと、前歯と奥歯の両方が伸びるものがいることです。
齧歯類、より正確には齧歯目の動物は、大きく3つのグループに分けられます。ネズミ形亜目、リス形亜目、ヤマアラシ形亜目の3つです。ネズミ形亜目にはハムスターやラットが、リス形亜目にはプレーリードッグやシマリスが、ヤマアラシ形亜目にはモルモットやチンチラが含まれます。
3つのグループのうち、ネズミ形亜目とリス形亜目は、前歯しか伸びません。ヤマアラシ形亜目のうち、モルモットやチンチラを含むテンジクネズミ形下目は奥歯も伸びます。ネズミ形亜目とリス形亜目の動物を飼育する際は、前歯の伸び過ぎにだけ気を配れば良いですが、テンジクネズミ形下目の動物を飼育する際は、奥歯の伸び過ぎにも気を配らなくてはいけません。
もうひとつ大事なことは、前歯と奥歯は、それぞれ不正咬合になる理由が異なるということです。
齧歯類の前歯は、齧歯類という名前のとおり、硬いものを齧るために生えています。硬いものを齧ると歯が削れていくので、それを補うように伸び続けるわけです。したがって、伸び過ぎを抑えるためには、堅果や樹皮など硬いものを齧らせる必要があります。
一方、奥歯は、ものをすり潰すために生えています。奥歯が伸びる齧歯類は、とくに草食に特化した種が多いです。繊維質の多い硬い草をすりつぶすために奥歯が削れていくので、それを補うために伸び続けるようになっているのです。したがって、伸び過ぎを抑えるためには、イネ科牧草などの硬い草をすりつぶさせる必要があります。
奥歯の伸びてしまったモルモットやデグーの治療をした後で、飼い主さんから、「硬いものは齧らせていたのですが」という声を聞くことが時々ありますが、硬いものを齧っているだけでは、奥歯は削れていかないのです。
前歯だけでなく奥歯も伸びるグループがあること、前歯の伸び過ぎと奥歯の伸び過ぎは対処方法が違うこと。齧歯類の不正咬合を防ぐためには、こういったことをきちんと理解しておくことが大切です。自分の飼っている動物がどちらのグループなのかわからなければ、正しい対策はできません。逆に、理解していれば、もしカピバラを飼いたくなったときに、何に気をつければいいかもわかることでしょう。
もちろんこれは、齧歯類の不正咬合に限った話ではありません。ほかの動物を飼うときでも、その動物がどんなグループに属していて(ポケモンでいえば何タイプで)、どんな特徴を持っているのか(どのタイプに強く、どのタイプに弱いのか)を把握することは、飼育を成功させる鍵となります。飼育書に書かれていることの意味も、より深く理解できるようになるはずです。
勉強はたしかにめんどくさい。けれど、大切な動物のための、頑張りどころだと思います。なにより、その動物をより詳しく知ることができる契機となりますから、取り組んでいただけると幸いです。