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イヌも歳をとると足腰が痛い!

2023.09.23

「今まで登っていた階段を登らなくなった」
「散歩に行くのを嫌がるようになった」

シニア期のイヌを飼われている方で、こういった経験はないでしょうか?
このような症状がみられた場合、そのイヌは足腰にトラブルを抱えているかもしれません。

ヒトと同じように、イヌも歳をとると足腰にトラブルを抱えやすくなり、治療をせずに放置すると歩行が困難になります。
今回はシニア期のイヌたちに少しでも元気よく過ごしてもらうために、イヌに多い足腰の病気について解説していきます。

<イヌのシニア期っていつから?>
前述したように、イヌが足腰にトラブルを持ち始めるのはシニア期からが多いです。では、イヌのシニア期は何歳からでしょう?

イヌのライフステージは、
・哺乳離乳期
・成長期
・中高齢期
・高齢期
に分類されます。

一般的には中高齢期と高齢期を総称してシニア期と呼ばれます。体のサイズによって何歳からシニア期に分類されるかはまちまちですが、日本で多く飼われている小型犬や中型イヌでは7〜8歳がシニア期と定義されています。

「7歳でシニア期なんて早くない?」
そう思う方もいらっしゃるかもしれません。イヌの7歳というのはヒトで例えると50歳前後になります。かわいらしい見た目からついつい赤ちゃんのように感じてしまいますが、うかうかしているとあっという間にシニア期になってしまうのですね。

<イヌの足腰の病気>
イヌで多い足腰の病気は、
・変形性脊椎症
・椎間板ヘルニア
・前十字靭帯断裂
などが挙げられます。
それぞれを解説していきます。

●変形性脊椎症
変形性脊椎症はその名の通り、脊椎(背骨)が変形してしまう病気です。背骨が変形してしまうことで、抱っこやジャンプなど不自然な体勢をとったときに痛みを感じることが多いです。軽度なものは無症状なので、健康診断で偶然見つかることがほとんどです。
似た名前の病気で”変性性”脊椎症(DM:Degenerative Myelopathy)というものがありますが、こちらは老齢性ではなく遺伝性の病気なので、間違えないようにしましょう。

●椎間板ヘルニア
散歩中に座り込んだり、抱っこを嫌がったりするときは、この病気があるかもしれません。この病名はヒトの病気としても馴染み深いと思います。
脊椎と脊椎の間には、椎間板という強い衝撃を吸収するクッションが存在します。ヘルニアという言葉は「脱出する」という意味なので、椎間板ヘルニアは「椎間板が外に脱出する」という意味になります。
椎間板が本来存在する場所から脱出すると、脊髄(神経)を圧迫するので、痛みや麻痺が生じます。
痛みだけの場合は薬やゲージレスト(安静)にしてもらうことが多いですが、麻痺を伴う場合は手術を行うこともあります。

●前十字靭帯断裂
がくんと膝が落ちるような歩き方になったり、足を外に回すようにして歩いたりするときは、膝の中の靭帯が切れているかもしれません。
前十字靭帯は膝を安定させるための靭帯です。イヌはシニア期になるとこの靭帯が脆くなり、ちょっとずつ切れてしまうことがあります。転ぶなどのふとしたきっかけで完全に切れてしまった場合は、強い痛みを伴います。
数日すると切れた時の痛みはなくなりますが、靭帯が切れたまま歩き続けることで関節を痛め、関節炎や変形性関節症を起こし、長々と続く痛みを伴います。

<まとめ>
今回ご紹介した病気は、いずれも重症化した場合に歩けなくなる可能性がある病気ですが、初期症状は些細なものです。
「ほうっておいても治るかな……?」
そんな風に思い込んでしまいやすい症状ばかりなのですね。
今回の記事を通して、「うちの子に疑わしい症状があるな」と思われた場合は、すぐに動物病院に相談しましょう。

浦安、行徳近辺で犬の足や腰のトラブルについて詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。

行徳どうぶつ病院
獣医師
大山 美雪