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神経科ブログ⑦ てんかんの分類について(その2)

2023.04.28

前回はてんかんを「病気の原因」によって分類しましたが、今回は「発作の症状(発作型)」による分類についてお話していきます。
「てんかん発作」は大脳皮質の神経細胞やそのネットワークに対し、何らかの原因で過剰な電気的興奮が発生することによって起こります。
てんかんを「発作の症状」という観点で分類すると「焦点発作」と「全般発作」に分かれます。

1. 焦点発作
脳の局所から起こる発作であり、その発生部位を「発作焦点」と言います。
症状は発作焦点部位が担当している機能に影響を与えます。人では発作中に意識がある、あるいは発作中の記憶がある場合と、それらがない場合がありますが、ワンちゃん、ネコちゃんでは意識や記憶の有無を評価することができません。
焦点発作の例としては、一肢を引き上げてしまうもの、同じ姿勢のまま動けなくなってしまうもの(運動性発作)、ヨダレを垂らしたり、瞳孔散大や縮瞳などが起こるもの(自律神経性発作)、何もないのに何かを目で追う、凝視しているなどの異常な行動がみられるもの(行動性発作)があります。
なお、行動性発作は獣医学における分類です。
人では行動を起こす理由となる異常な感覚(幻聴や幻覚など)を発作時や発作後に本人から聞けますので「感覚性発作」という分類になっています。
その他、始まりは一肢の引き上げだったのに次第に後肢や反対側にも広がり、ついには脳全体に波及していき全般発作へと移行することもあります(焦点発作からの全般発作への進展)。
焦点発作からの全般発作への進展は焦点発作に分類されます。

2. 全般発作
脳の全ての領域で発作が始まるもので、おそらく皆さんがよく知っている発作は、けいれん性全般発作の中の「強直間代性発作」という最初に全身の筋肉が突っ張るような症状(強直性けいれん)から始まり、その後手足をバタバタするような動き(間代性けいれん)が起こり、数分以内に終わるものではないかと思います。
その他に、「強直性発作」(強直性のみ)、「間代性発作(間代性のみ)」、体の一部、または全身の筋肉がビクンとする「ミオクロニー発作」が含まれます。
また、けいれんを伴わない「非けいれん性全般発作」もあり、その中には一瞬だけ動作が止まる「欠伸発作」や一瞬だけ全身の筋肉の力が抜ける「脱力発作」などがあります。

てんかん発作と言っても色々なパターンがあり、お薬を使い分ける場合があります。
これはてんかん発作かも?と思われた時は必ず動画を撮影しておきましょう。

てんかん発作の診断や治療についてのご相談がございましたら、お気軽に当院にお問い合わせください。

行徳どうぶつ病院
神経科担当獣医師
大内 詠子