2025.12.05
院長ブログ
ポケットモンスターシリーズ最新作、『ポケモンレジェンズZA』が発売されてからもうすぐ2ヶ月が経とうとしています。『ポケットモンスターXY』から5年後のミアレシティを舞台にした新しい冒険を、みなさん楽しまれましたでしょうか。
ZAの特徴は、なんと言ってもそのバトルシステム。過去作のターン制バトルから一変して、リアルタイムに技を出し合うアクションゲームになりました。技の発生と硬直の差でタイプ不利の相手を圧倒できたり、ステージ上の障害物で相手の攻撃を防げたりと、これまでのバトルとはまったく異なる頭の使い方が求められて刺激的です。「ピカチュウ、かわせ!!」が本当にできる日がやってくるとは。
私はずっとこんなバトルがしたかったので、嬉々としてランクバトルに潜る日々を送っています。しかし、これまでとはポケモンや技の採用基準、立ち回りがかなり違うので、「何が強い行動なのか」「どうすれば勝てるのか」を自分で探求しなければいけません。
そんなとき大事なのが、「対戦ごとの振り返り」です。対戦の様子を記録(あるいは記憶)しておいて、どんな行動が強かったか、弱かったかを考えることで、次の対戦ではよりうまく立ち回れるようになります。この積み重ねが、トレーナーとしての力を培ってくれるのです。強いトレーナーは、たいていこれをやっています。反省しないトレーナーは強くなれません。
まるでお仕事みたいですが、実際、「記録と振り返り」は何をするにも大切です。もちろん、動物を飼うときにも。
と、いうわけで、今日は爬虫類飼育の「記録」に役立つグッズ紹介と、記録することの意味についてお話ししたいと思います。
爬虫類飼育では、1日を通じて温度・湿度がどう変化しているのかを把握しておくことが大事です。外出中や就寝中に、ケージの温度が上がり過ぎていた、下がり過ぎていた、ということに気がつかないと、原因がわからないまま生体が体調を崩していくことになるからです。直接見ていられない時間帯にも、温度・湿度の変化を記録しておかなくてはいけません。
そんなとき便利なのが、スマート温湿度計です。

BluetoothやWi-Fiを介してスマホと連携でき、温度・湿度の変化をリアルタイムにスマホに届けてくれます。外出先でも、スマホアプリから温度や湿度が確認できるので、ケージ内の環境を細やかに把握することができます。さらに、たいていは数年分のデータをクラウドに保存しておけるので、先月に比べてどうか、去年と比べてどうか、といった比較もすることができます。生体が体調を崩したとき、何がいけないのか考えるためにとても有用なデータを残してくれる装置です。

新型コロナウイルス感染症が流行り始めたとき、病院などに行くと、おでこにピッてして体温を測られることがよくありましたよね。あのように、対象に直接触れずに温度を測る装置を輻射式温度計といいます。検温以外では、揚げ物を作るときに油の温度を測ったり、ピザを焼くときに窯の温度を測ったりするために使われます。

爬虫類を飼うときは、これもあると便利です。瞬時に温度を測れるので、「バスキングスポットはちゃんと温かくなっているだろうか?」と心配になったときなどに、ピッと即座に確かめることができます。また、生体を押さえつけずに、表面温度を測ることもできます。お手軽にあちこち温度を測れるので、ケージ内の温度勾配がどうなっているかなどを把握するのに役立ちます。


とくに昼行性の爬虫類を飼育する場合、測らなければいけないのは温度だけではありません。明るさ、照度もとても重要です。暗い環境では、温度条件が良くても生体の活性は上がらないからです。
この明るさを測る機械が照度計です。これがあれば、ケージ内、とくにバスキングスポットが生体に必要な明るさになっているのかを、確かめることができます。

紫外線ランプの紫外線量が次第に減っていくことはいまや常識ですが、照度自体も同様に、時間が経つと下がっていきます。たとえば、爬虫類飼育にもよく使われるメタルハライドランプは照度の減衰が激しい照明で、1年くらい経つと照度がもとの80%くらいに下がってしまいます。iPhoneのバッテリーみたいですね。そのため、きちんと期待する明るさが出ているかどうかも、照度計を使って計測しておくことが望ましいです。

そのほか、屋外の照度を測って、太陽と人工光源との圧倒的な差に打ちひしがれるのも、爬虫類飼育者にとっては必要な儀礼と言えるでしょう。
さきほども触れましたが、紫外線ランプから出る紫外線は次第に減衰していきます。1年も経てば、多くの紫外線ランプはほとんど紫外線が出ていない状態になってしまうでしょう。
紫外線は昼行性爬虫類の健康維持に不可欠なものです。だから、取り付けているランプからちゃんと紫外線が出ているのかどうかは、まめに調べてあげなくてはいけません。
これに関しては測定器が高価かつ規格が定まっているわけではないので、日焼け止めについてくるUVIチェッカーのようなものでも大丈夫です。紫外線で色がつくタイプであれば、はじめにどれくらい色が濃くなるのかを記録しておいて、同じ濃さを維持できるかどうかを見ていけば、機器の交換タイミングを捉えることができます。



ちなみに、こちらも、太陽にかざしてみて、人工照明の非力さに絶望してみるとよいでしょう。
測った数値の使い方
以前、体重測定について解説した記事でも書きましたが、これらの機器で記録したデータは、「変化を見る」ために使います。単発で、たとえばカメの甲羅の温度を測ってみたとして、それが何度だったら正常なのかは、まだよくわかっていません。バスキングスポットを何度にしたらいいのかというのも、リクガメみたいなメジャーな動物であっても言ってることがみんなばらばら。だから、過去からの「変化」を追いかけ、「比較」することで、問題があるかないかを判断するのです。
たとえば、飼っているリクガメの食欲がなくなってしまったとします。甲羅の温度を測ってみたら29℃でした。このとき、元気に餌を食べていたときの甲羅の温度は33℃だったという記録(記憶でもいいです)があれば、「ひょっとして寒いのでは?」と推測することができます。そのうえで、クールスポットの温度は元気だったときと同じだけれど、バスキングスポットの温度は元気だったときよりも低いということがわかれば、「バスキングランプを大きくすればよいのでは?」という解決案を導き出すことができます。ご自身では判断できなかったとしても、そのデータがあれば、我々がアドバイスしやすくなります。
大事なのは、どうぶつが元気なときもきちんと記録をとっておくことです。そのために、さまざまな計測機器を、手元に置いておくとよいのです。
以上、「記録」に便利なグッズについてお話してきました。動物飼育では何が役に立つのかわからないもので、いろんなことを記録しておくと、のちのちそれに助けられるということはよくあります。なんでも記録しておくことはとっても大事。温度計なんて、なんぼあってもええですからね。
ただ、記録と振り返りをきちんとしていると、意に沿わない結論が立ち現れてくることもあります。良かれと思って取り入れてみたけど、どうもうちの子とってはあまり良くなさそうだぞ、ということは少なくありません。そういうときは、ネットの声に惑わされず、データを信じて素直に修正しましょう。
ちなみに、ポケモンZAにおいて辿り着いた結論は、「ガブリアスを使え」でした。私はその結論に従い、泣く泣く大好きなカイリューをベンチに……入れることなくまだ使い続けています。本当に強いトレーナーなら、好きなポケモンで勝てるよう、頑張るべき。カリンの言葉を胸に、他のポケモンに意識が向いているガブリアスをメガカイリューのれいとうビームで後ろから撃つ日々です。
人の上に立つ者がそんなことをしていていいのか。