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犬のお腹が赤い時は要注意!千葉県行徳の獣医師が教える原因と対処法

2025.11.28

「あれ?お腹が赤くなってる…」

シャンプーの後や抱っこした時、愛犬のお腹の赤みに気づいて不安になっていませんか?お腹は毛が薄いため、皮膚トラブルが目立ちやすい場所です。

結論から申し上げます。お腹の赤みを見つけたら、自己判断せず、すぐに動物病院を受診してください。

赤みは愛犬からの重要なサインです。「少し赤いだけ」「痒がってないから大丈夫」と思っていても、皮膚の下では炎症が進行している可能性があります。

当院(行徳どうぶつ病院・千葉県市川市)には日本獣医皮膚科学会 認定医 春日 陽一郎先生の専門外来を設けております。お腹の赤みで当院を受診される飼主様は非常に多くいらっしゃいます。早期発見・早期治療が、愛犬の苦痛を最小限に抑える鍵となります。

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なぜお腹が赤くなるの?主な4つの原因

お腹の赤みには、必ず原因があります。見た目は似ていても、原因によって治療法はまったく異なります。そのため、獣医師による正確な診断が不可欠です。

ここでは代表的な4つの皮膚疾患をご紹介しますが、これはあくまで知識として知っていただくためのものです。「うちの子はこれかも」と自己判断せず、必ず受診してください。

1. アトピー性皮膚炎

ハウスダストや花粉など、環境中の物質に過敏に反応してしまう体質的な病気です。人間のアトピーに似ており、遺伝的な要因が関係しています。

犬全体の3〜15%程度がアトピー性皮膚炎を持っているといわれています(1)。

よく見られる特徴:

  • 生後6ヶ月〜3歳頃に症状が出始めることが多い(3)
  • お腹だけでなく、足先や耳、顔も痒がる
  • 春や秋など季節によって悪化する

柴犬、ラブラドール・レトリーバー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアなどで多く見られます(1)。

アトピー性皮膚炎の皮膚は、外部からの刺激を防ぐバリア機能が弱くなっています(2)。そのため、細菌や真菌(カビ)の感染も起こしやすく、放置すると症状がどんどん悪化します。

**「アトピーかも…」と思ったら、様子を見ずに受診を。**悪化すると治療期間も長くなります。

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2. 食物アレルギー

食べ物に含まれる特定のタンパク質に、体が過剰に反応してしまう病気です。犬では牛肉、乳製品、鶏肉、小麦などが原因になりやすいと報告されています(5)。

よく見られる特徴:

  • 年齢に関係なく突然発症する
  • 一年中症状がある(季節性がない)
  • お腹、耳、足先に赤みや痒みが出る(14)
  • アトピー性皮膚炎と見た目が似ている

アレルギー性の皮膚疾患を持つ犬の約20〜30%に、食物アレルギーが関係しているといわれています(6)。アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを両方持っている犬も少なくありません(7)。

**「フードを変えたら治るかな?」と自己判断で食事を変更するのは危険です。**獣医師の指導のもと、正しい方法で食事管理を行う必要があります。

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3. 膿皮症(のうひしょう)

皮膚に普段からいる細菌(主にStaphylococcus pseudintermedius)が異常に増えて、感染を起こした状態です。「ばい菌が増えた状態」と考えてください。

膿皮症は犬で最も多い皮膚疾患の一つです(8)。

よく見られる特徴:

  • 赤いブツブツや膿を持った発疹
  • 円形の赤み(カサブタの輪ができる)
  • 毛が抜ける
  • 痒みがある
  • 臭いが強くなる

**ただし、細菌が増えた「結果」であって「原因」ではありません。**アレルギーやホルモンの病気など、元になる問題があります(10)。

**「お腹が臭い」「ブツブツがある」と感じたら、すぐに受診を。**感染が広がる前の早期治療が大切です。

4. 脂漏性皮膚炎(マラセチア性皮膚炎)

皮脂の分泌が多い場所に起こりやすい皮膚炎です。原因は不明ですが、マラセチアという酵母(カビの仲間)が重要な役割を果たしています(11)。マラセチアも普段から皮膚にいる菌ですが、皮膚が脂っぽくなったり湿ったりすると増えやすくなります(12)。

よく見られる特徴:

  • 皮膚がベタベタして脂っぽい
  • 独特の酸っぱいような臭い
  • 強い痒み
  • お腹、耳、足の指の間、脇の下など湿りやすい場所に出る
  • 皮膚が黒ずんで厚くなる(放置すると)

ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、バセット・ハウンド、アメリカン・コッカー・スパニエル、シーズーなどで多く見られます(12)。

**「独特の臭いがする」「ベタベタする」なら要注意。**マラセチアも、アレルギーなど元の病気があって増えています(13)。表面的な治療だけでは再発を繰り返します。

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動物病院ではどんな検査をするの?

「病院でどんな診察をされるんだろう…」という不安があるかもしれません。
基本的な流れをご説明します。

問診で詳しくお話を伺います

  • いつから赤くなっているか
  • 痒がっているか(舐める、噛む、掻く)
  • 季節で変わるか
  • どんな食事を食べているか
  • お腹以外にも症状があるか

これらの情報が、診断の重要な手掛かりになります。

皮膚の検査

顕微鏡検査
皮膚の表面をテープで採取し、顕微鏡で細菌や真菌(カビ)がいないか調べます(10)(15)。痛みはほとんどありません。

細菌培養検査
何度も膿皮症を繰り返している場合や、治りにくい場合には、どんな細菌がいるか、どの抗生物質が効くかを調べます(10)。

食事試験(食物アレルギーが疑われる場合)
今まで食べたことのない特別な食事を8〜12週間食べてもらい、症状が改善するかを見る検査です(5)(6)(16)。食事試験期間中は、処方された食事以外は一切与えず、おやつ、歯磨きガム、サプリメント、人の食べ物も全て対象外となります。

アレルギー検査(アトピー性皮膚炎の場合)
血液検査や皮膚反応検査でアレルゲンを調べることもできますが、これは治療法の一つである「減感作療法」を行う際に使用する検査です(18)。

いずれの検査も、正確な診断と適切な治療のために必要です。「検査は高そう…」と心配される方もいらっしゃいますが、適切な検査なしには効果的な治療ができません。まずはご相談ください。

検査や費用のご相談もお気軽に→ https://page.line.me/853jhqlz?openQrModal=true

治療法は?

治療法は原因によって異なります。

アトピー性皮膚炎の治療

完治は難しい病気ですが、適切な治療で快適な生活を送ることができます(1)(19)。治療は複数の方法を組み合わせて行います。

痒み止めの飲み薬
比較的新しく副作用が少なく効果的な薬があります(19)。従来の主流であるステロイド剤は、即効性があり状況に応じて短期間を目安に使用します。副作用もあるため長期使用は避けます。免疫抑制剤を使用することもあります。

皮膚のケア
保湿剤や薬用シャンプーも大事です。また、セラミド配合製品や必須脂肪酸のサプリメント(19)を併用する場合もあります。

減感作療法(長期的な体質改善)
アレルゲンを少しずつ注射または舌下投与することで、体をアレルゲンに慣れさせていく治療です(18)。効果が出るまで数ヶ月かかりますが、長期的には薬を減らせる可能性があります。

二次感染の治療
細菌の感染を併発している場合は、それらの治療も同時に行います。

アトピー性皮膚炎は、獣医師と二人三脚で長く付き合っていく病気です。一人で悩まず、獣医師のサポートを受けてください。

食物アレルギーの治療

獣医師の指導のもと、アレルゲンとなる食材を避けた特別な食事に切り替えます(5)。食事試験で良くなった食事を、そのまま続けることが基本です。新奇タンパク質食や加水分解タンパク質食を継続します。

痒みが強い時期だけ、痒み止めを併用することもあります。

**自己判断でのフード変更は絶対にNG。**かえって症状を悪化させたり、原因の特定が難しくなったりします。食物アレルギーは、適切な食事管理ができれば症状をコントロールしやすい病気です。

膿皮症の治療

感染そのものの治療と、元の原因疾患に対する治療を行います。

感染に対しては、クロルヘキシジン配合シャンプーなどでの薬浴(シャンプー療法)、症状が広範囲に及ぶ場合は、抗生剤の内服を用います。内服を使用中は、途中でやめると再発しやすくなるため、獣医師の指示通りに服用します。

重要なのは、元の原因疾患(アレルギーやホルモンの病気など)も同時に治療することです(10)。そうしないと何度も再発します。

脂漏性皮膚炎(マラセチア性皮膚炎)の治療

薬浴(シャンプー療法)と抗真菌薬の内服が主体となります。ケトコナゾールなどの飲み薬を3〜8週間使用します(12)(13)。肝臓に負担がかかる可能性があるため、長期使用する場合は定期的な血液検査が必要です。

マラセチアも二次的な問題なので、アレルギーなどの元の病気をコントロールすることが大事です(12)(13)。

よくあるご質問

Q. 少し赤いだけなら様子を見ても大丈夫?

A. いいえ、おすすめしません。「少し赤い」段階が、実は治療の最適なタイミングです。皮膚病は放置すると慢性化し、治療期間も長くなります。早めの受診が、愛犬の苦痛を最小限に抑えます。

Q. 人間用の薬を塗ってもいい?

A. 絶対にやめてください。人間用の薬は犬には危険な成分が含まれている場合があります。また、薬を塗ることで症状が一時的に分かりにくくなり、診断が遅れる原因にもなります。

Q. シャンプーを変えたら治る?

A. 原因によります。自己判断でのシャンプー変更は、症状を悪化させる可能性があります。まず獣医師に相談し、適切な薬用シャンプーを処方してもらってください。

Q. 何歳くらいから症状が出やすい?

A. アトピー性皮膚炎は生後6ヶ月〜3歳頃に症状が出ることが多いですが、食物アレルギーは年齢に関係なく発症します。どの年齢でも油断は禁物です。

Q. 治療期間はどのくらい?

A. 原因や重症度によって異なります。急性の膿皮症なら数週間で改善することもありますが、アトピー性皮膚炎は生涯にわたる管理が必要な場合もあります。まずは診察を受けて、具体的な治療計画を立てましょう。

まとめ:お腹の赤みは「すぐ受診」のサイン

犬のお腹の赤みは、さまざまな皮膚疾患のサインです。見た目が似ていても原因は異なり、それぞれに適した治療が必要です。

また、アトピー性皮膚炎があると、膿皮症や脂漏性皮膚炎を併発しやすく、複数のトラブルを同時に抱えている場合もあります。表面的な治療だけでなく、根本原因を見つけることが再発防止につながります。

皮膚病は放置すると慢性化し、治療が難しくなります。「少し赤いかな」と感じた時が、受診の最適なタイミングです。

当院(行徳どうぶつ病院)には日本獣医皮膚科学会 認定医 春日 陽一郎先生の専門外来を設けております。千葉県市川市・行徳エリアで、お腹の赤みにお困りの飼主様は、ぜひご相談ください。

日頃から、お腹や足先など毛の薄い部分をチェックする習慣をつけましょう。変化に早く気づくことが、愛犬の皮膚の健康を守る第一歩です。

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監修:行徳どうぶつ病院
院長 名古孟大

参考文献

(1) Drechsler Y, Dong C, Clark DE, Kaur G. Canine Atopic Dermatitis: Prevalence, Impact and Management Strategies. Vet Med (Auckl). 2024;15:57-74.

(2) Eisenschenk MNC, Olivry T, Mueller RS, et al. Introduction to the ICADA 2023 canine atopic dermatitis pathogenesis review articles and updated definition. Vet Dermatol. 2024;35:3-6.

(3) Bajwa J. Canine atopic dermatitis: An evolving understanding. Can Vet J. 2025;66:295-300.

(4) Outerbridge CA. Current Knowledge on Canine Atopic Dermatitis: Pathogenesis and Treatment. Adv Small Anim Care. 2021;2:101-115.

(5) Mueller RS, Olivry T, Prélaud P. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats. BMC Vet Res. 2016;12:9.

(6) Olivry T, Mueller RS. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (9): time to flare of cutaneous signs after a dietary challenge in dogs and cats with food allergies. BMC Vet Res. 2020;16:158.

(7) Olivry T, Mueller RS. Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (7): signalment and cutaneous manifestations of dogs and cats with adverse food reactions. BMC Vet Res. 2019;15:140.

(8) Beco L, Guaguère E, Lorente Méndez C, et al. Canine superficial pyoderma and therapeutic considerations. Can Vet J. 2016;57:77-82.

(9) Loeffler A, Cain CL, Jessen LR, et al. Antimicrobial use guidelines for canine pyoderma by the International Society for Companion Animal Infectious Diseases (ISCAID). Vet Dermatol. 2025;36:e1-e37.

(10) Hillier A, Lloyd DH, Weese JS, et al. Guidelines for the diagnosis and antimicrobial therapy of canine superficial bacterial folliculitis (Antimicrobial Guidelines Working Group of the International Society for Companion Animal Infectious Diseases). Vet Dermatol. 2014;25:163-175.

(11) Bajwa J. Canine Malassezia dermatitis. Can Vet J. 2017;58:1119-1121.

(12) Bond R, Morris DO, Guillot J, et al. Biology, diagnosis and treatment of Malassezia dermatitis in dogs and cats: Clinical consensus guidelines of the World Association for Veterinary Dermatology. Vet Dermatol. 2020;31:27-74.

(13) Guillot J, Bond R. Malassezia dermatitis in dogs and cats. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2024;54:291-307.

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(15) Koch SN. Treating Canine Superficial Pyoderma in the Era of Antimicrobial Resistance. Today’s Veterinary Practice. 2022;12(4):50-57.

(16) Verlinden A, Hesta M, Millet S, Janssens GP. Food allergy in dogs and cats: a review. Crit Rev Food Sci Nutr. 2006;46:259-273.

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