2023.03.03
動物にも小さい子どもと同じように、食べ物ではないものを飲み込んでしまう事故が起きます。これを誤飲と言います。拾い食いをする癖のある子や食べ物ではないものを食べたがる(異嗜)子は、とくに誤飲のリスクが高くなります。誤飲してしまうものはさまざまですが、口に入るサイズのものや、ゴム製品などの噛み心地のよいものが多いです。誤飲は好奇心の強い子犬・子猫で起きることが多いですが、成犬・成猫でも起きることがあります。
今回は誤飲した場合に起きるリスクを解説します。
●喉にひっかかるリスク
果物の種やおもちゃ、大きなおやつなど、身体に対して大きなものを飲み込むと喉にひっかかってしまうおそれがあります。喉に詰まってしまうと、気道をふさいで呼吸ができなくなる場合があります。
●胃や腸に穴をあけるリスク
まち針や釣り針、竹串や爪楊枝などの鋭利なものは、消化管を貫いて穴をあけるおそれがあります。
●腸につまるリスク
身体に対して大きなものを誤飲すると、喉に詰まらなくても、腸に詰まることがあります。また猫で起きることが多いですが、毛玉が固まったものやゴムなどの長細いもの(紐状異物)も腸に絡まって詰まらせることがあります。
●中毒のリスク
たまねぎやチョコレートなど、動物にとって有毒な食べ物は多くあります。これらのものを食べてしまった場合、中毒を起こすおそれがあります。例えばたまねぎは貧血、チョコレートは呼吸や循環の異常を引き起こします。
中毒の詳細についてはまた別の記事で解説します。
●消化管を腐食するリスク
乾電池や洗剤など、化学的に消化管の粘膜を傷つけて穴を開けてしまうものもあります。人からみて明らかに危ないものでも、動物は興味本位で舐めてしまうことがあるため、注意が必要です。
〈誤飲したらどうするの?〉
誤飲してすぐであれば病院に連れてきて、吐かせる処置(催吐処置)をします。
ただし、鋭利なものなど消化器を傷つける可能性が高いものは無理に吐かせないようにしています。
催吐処置を行なっても吐き出せない場合や、催吐を行なっていけないものの場合、食べてから時間が経って異物が胃の先に進んでしまった場合は、麻酔をかけて開腹手術を行うか、内視鏡を使ってとりだす必要があります。
※当院に内視鏡はないため、手術になります。
とくに紐状異物は取り出すのがとても難しいため、お腹を開ける手術をしてとり出すのが一般的です。中毒の場合は、解毒剤がないことが多いので、すでに症状が出ている場合は症状に合わせた対症療法を行います。
〈もしも誤飲してしまったら〉
動物の誤飲癖はしつけで抑えるのが大変難しいため、普段から危険なものから遠ざける、食べそうなものは届くところに置かないといった対策をしておくことが重要ですが、100パーセント防ぎ切るのは困難です。ご家族が目を光らせてあげるようにしてください。
また、犬が食べてはいけないものをくわえている時、無理に取り上げようとすると、とられまいとして飲み込んでしまうことがあります。おやつやおもちゃなど別のもので気をひいて、自分から吐き出すようにうながしてみてください。
誤飲は直後に症状がないからといって安心はできません。時間が経つにつれて症状がでてくることがあります。また、前述のように、食べてすぐであればより身体に負担の少ない催吐処置で解決できるかもしれません。動物が変なものを食べたことに気がついたら、すぐ動物病院に連れていくようにしましょう。
紐状異物は口に紐がひっかかっている場合もありますが、引っ張って取り出そうとすると内臓に穴が開く可能性が高いため、紐が見えても絶対に触らないようにしてください。
受診する際は飲み込んだものと同じもの(飲み込んだものの片割れ、同じ形のおもちゃなど)があれば、一緒に持ってきていただけると、異物がどこにあるか特定しやすくなります。
浦安、行徳近辺で誤飲について詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。
行徳どうぶつ病院
獣医師
大山 美雪