2022.12.23
前回は犬のアレルギーについて解説しましたが、今回は猫でよく見られるアレルギーについて解説します。
アレルギーの発生の仕方は四種類あり、主に一型と四型のアレルギーが見られます。その違いは犬のアレルギーの記事で解説しています。
猫の皮膚の病気は特徴的な形で現れることが多く、粟のように細かい場合(粟粒性皮膚炎)、表面がつるつるした状態になっている場合(好酸球性肉芽腫)がよく見られます。また猫の皮膚炎はとても痒みが強く、体が柔らかいため痒いところを引っ掻いたり舐めたりして、脱毛や掻傷ができやすくもあります。猫のアレルギーにも種類はありますが、どれも上にあげた症状が出るため、確実な診断をするのが難しい疾患です。
特定の食べ物がアレルゲンとなるアレルギーで、一型と四型があります。治療は抗体検査や除去食試験によってアレルゲンとなる食べ物を特定し、食べさせないようにすることです。他のアレルギーも一緒に持っていることがあります。
ノミの唾液がアレルゲンとなり皮膚炎を起こす病気で、一型と四型があります。食物アレルギーと同様に強い痒みを引き起こします。治療は薬を使ってノミを倒すことですが、一緒に暮らす他のペットに移ることもありますので、同居動物のノミ駆除も必要となります。また、ノミはさまざまな病気を持ち込む媒介者(ベクター)でもあるため、猫ひっかき病の原因となるバルトネラ菌(人にうつることが問題となる人獣共通感染症です)、腸に寄生する瓜実条虫などが同時に感染することもあるので、場合によっては一緒に治療する必要があります。
一般的に猫のアトピー性皮膚炎と呼ばれるものですが、最近では非ノミ非食物性皮膚炎と呼ばれるようになってきています。食物アレルギーと一緒に持っていることもありますが、犬よりも診断が難しく、また治療法も有効とされる報告がほとんどないため、症状を抑えながら生涯つきあっていかなくてはならない病気となります。
副反応には一型と四型があります。アメリカの研究では猫のワクチン接種後の有害事象は1万回に54回ほどあったという報告がありますが、日本での発生率はよくわかっていません。猫の場合はアナフィラキシーショックが呼吸器に現れることが多く、非常に重篤になります。接種後すぐに起こる副反応だけでなく、家に帰ってから顔の腫れや下痢嘔吐、注射したところに強い痒みを感じている様子があれば、早めに病院に相談しましょう。
原因がはっきりとわかっていないので厳密にはアレルギーに分類しがたいものですが、猫のワクチン関連性線維肉腫は1万頭に2頭の割合で起こるとされる悪性腫瘍であるため、ここでは取り上げます。転移はほとんどしませんが、浸潤性が高いため再発しやすい特徴があります。珍しい病気ではありますが、長年獣医学では問題として取り上げられています。
(犬の場合は報告がなく、注射部位がしこりになってもすぐ消えるため問題にならないことがほとんどです)
猫はワクチン接種後に起こりえる問題が犬より大きいですが、感染する病気も流行、慢性化または重篤になりえるものばかりですから、基本的にはワクチンの接種を推奨しています。外猫との接触がある場合や多頭飼いの場合はもちろんですが、完全室内飼いでは直接の暴露(感染症を持つ猫に触れる機会)は少ないものの、猫が人の靴に触れることや、人が別の猫を触った手でスキンシップを取ることで感染することがあります。このように一匹だけ・完全室内飼いでも安全とは言い切れないため、感染症対策として、ワクチンの接種は非常に有効な手段です。ワクチンに含まれるそれぞれの病気については、また別の機会に解説していこうと思います。
浦安、行徳近辺で猫のアレルギーについて詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。
行徳どうぶつ病院
獣医師
大山 美雪