2022.12.09
アレルギーとはある特定の物質(アレルゲン)に対する免疫の過剰反応のことを示しますが、「アレルギー」と一口に言っても、さまざまな種類があります。
今回は犬でよく見られるアレルギーについて解説していきます。
アレルギーは現れ方によって一型、二型、三型、四型に分けられますが、今回は一型と四型に絞って記していきます。
一型アレルギー:即時型アレルギーとも言い、IgEという抗体が関わります。アレルゲンに接してからすぐに症状が現れるのが特徴で、一般にアナフィラキシーショックと呼ばれるものは一型に分類されます。
四型アレルギー:遅延型アレルギーとも言い、白血球が関わります。アレルゲンに接してから1〜2日後に発症することが多く、一型アレルギーのあとに起きることもあります。人の例ですが、代表的なものは結核ワクチンによるツベルクリン反応です。
この二つの違いを踏まえた上で、よくみかけるアレルギーについて解説していきます。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎はアレルゲンが侵入しやすい体質であるために肌の痒みを引き起こしやすくなる病気のことです。長く続く痒みが特徴で、分類としては一型と四型どちらもあり、また両方起こす場合もあります。アレルゲンは様々なものがあるため特定するのは難しいですが、環境によるものが多いとされています。この病気は若いうちに見つかることが多く、治っては再発する反復性があるために、皮膚のケアがとても重要になってきます。治療は程度によりますが、定期的なシャンプー、お薬による治療、食べ物による治療など、さまざまな治療法を合わせて行います。
食物アレルギー
食物アレルギーは食べ物がアレルゲンであるために、消化器や皮膚に症状を起こします。一型と四型、どちらも存在します。治療としては、原因となる食べ物を特定して食べないようにすることで症状を抑えることができます。アトピー性皮膚炎と併発・関連していることもあります。
ワクチンアレルギー
ワクチンは感染症に対する免疫応答を起こさせることで体に免疫をつけるものですが、これによりアレルギーは副反応と呼ばれるものになり、一型と四型があります。接種後30分以内に起こる低血圧、呼吸の苦しさなどを示すのはアナフィラキシーショックの可能性が考えられます。それ以降かつ24時間以降に起こる皮膚の赤みと湿疹、顔の腫れ、吐いたり下痢をしたりする消化器症状を起こすことも、アレルギーに関連した副反応と考えられます。
ワクチンアレルギーをもつ犬はワクチンを避けることで症状を抑えることができます。
虫刺されによるアレルギー
ハチに刺された時に軽い症状で済むか重い症状になるかは場合によりますが、ハチ毒によるアレルギーは一型、四型、三型の様式を示します。
一部だけ腫れるような軽い場合は冷やしたりアレルギーを抑える薬を打ちますが、状態が重かったりアナフィラキシーショックを疑う呼吸困難や嘔吐下痢を起こすものであれば、入院することもあります。
このように、アレルギーと言ってもさまざまなものがあります。
アレルゲンが特定できれば避けることもできますが、アトピー性皮膚炎のようにはっきりしたアレルゲンがない場合やアレルゲンを避けることが難しい場合は生涯付き合っていく必要があります。
浦安、行徳近辺で皮膚病・アレルギーについて詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。
行徳どうぶつ病院
獣医師
大山 美雪