診療予約

ブログ

猫にもワクチンは打つべき?

2023.08.25

以前こちらの記事で犬の混合ワクチンについて解説しました。
今回は猫の混合ワクチンについて解説していきます。

<猫の混合ワクチンってなに?>
ワクチンにはコアワクチンとノンコアワクチンがあります。コアワクチンは前回の記事で解説した通り、どの地域でも接種を推奨されるワクチンのことです。猫の混合ワクチンのほとんどは、コアワクチンである猫ウイルス性鼻気管炎、カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の、3種類が含まれています。ノンコアワクチンに分類されるものには、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症があります。

例えば、ペットホテルに預ける時は、ワクチンの効果が出やすい3ヶ月以内にワクチンを接種することを推奨されています。

<猫のワクチンプログラムとは?>
WSAVAのワクチンプログラムも子犬と同様に、生後6〜8週齢で初回の接種を行ない、以降、2〜4週おきに16週齢までワクチンを接種することが推奨されています。
猫も母子免疫が切れるタイミングに個体差があるため、場合によってはブースター接種をすることがあります。ブースター接種とは16週齢以降もワクチンへの反応がない場合に、成猫になるまでの感染を防ぎます。
ワクチンプログラムにおける16週齢までのワクチン接種のあとに、6ヶ月齢、12ヶ月齢にワクチンを投与(ブースター接種)したあと、確実に免疫がついたと判断できれば、コアワクチンは3年ごと、ノンコアワクチンは1年ごとに接種することが推奨されています。
多頭飼いやペットホテルを利用するなど他の猫と接触することが多い場合は、猫ウイルス性鼻気管炎、カリシウイルス感染症のコアワクチンを年1回接種することが推奨されています。

<猫の主な感染症>
日本では3種混合ワクチンがよく接種されますが、いずれもコアワクチンとなります。コアワクチンとされる感染症は、それぞれ以下のようなものとなります。

●猫ウイルス性鼻気管炎
猫風邪と呼ばれる感染症のひとつで、猫ヘルペスウイルス1型によって起こる感染症です。空気感染し、目の粘膜からも感染が起こるため、非常に広がりやすい感染症です。症状が現れないことがほとんどですが、免疫の弱い子猫や老猫、またストレスや病気で免疫が弱った猫は症状が現れます。
症状はくしゃみ、結膜炎、目やにがたくさん出る、多量の涎が出る、涙や鼻水が出るなどが挙げられます。

●カリシウイルス感染症
猫風邪と呼ばれる感染症のひとつで、猫カリシウイルスによって起こる感染症です。空気感染し、目の粘膜からも感染が起こります。また、一度感染した猫は健康でもウイルスをしばらく排出しつづけるようになるため、非常に広がりやすい感染症です。
症状はくしゃみ、結膜炎、目やにがたくさん出る、多量の涎が出る、涙や鼻水が出るなどです。ヘルペスウイルス感染症との違いは、口内炎ができやすく食欲が落ちやすいこと、また、強毒株に感染することで発熱、皮下浮腫、頭や口の潰瘍、黄疸などの重い症状を起こすことがあります。

●猫汎白血球減少症
犬パルボウイルス2型による感染症です。犬のパルボウイルス感染症と同じウイルスでもあります。(犬の感染症については前回の記事を参照してください)
感染ルート、症状、いずれも犬とほぼ同じ経過をたどります。
感染すると7日のうちに嘔吐、発熱、下痢といった激しい消化器症状が起こります。6ヶ月齢未満の猫は亡くなる可能性が高いです。妊娠猫では胎子の奇形の原因になります。若齢猫は、心臓や小脳にトラブルが起きることがあります。
犬と同じく、パルボウイルスに汚染された場所は特殊な消毒が必要です。

●FeLV(猫白血病ウイルス感染症)
細胞をがん化させるレトロウイルスによる感染症です。母猫から生まれる時や、血液や唾液、糞尿を介して猫同士に感染するため、多島飼い飼育では集団感染がよくあります。発症すると白血病のような症状が現れますが、全く症状がないまま寿命をまっとうする猫もいます。
この病気は感染すると治すことができず、症状が現れた場合の治療は対症療法のみです。
予防策としては感染猫との接触を避けること、ワクチンを接種して予防することです。

●FIV(猫免疫不全ウイルス感染症)
猫のエイズウイルスによる感染症です。喧嘩などで起きる怪我や咬傷で感染するため、野外ではオス猫の感染率が高いです。初期症状としては若くしての口内炎やリンパ節の腫れ、重篤な症状は5歳以降に見られることが多く、異常な痩せ方や病気に弱い体になり数ヶ月以内に亡くなりますが、全く症状が現れずに寿命をまっとうする猫もいます。
この病気は感染すると治すことができず、症状が現れた場合の治療は対症療法のみです。猫白血病ウイルス感染症に比べると感染はしにくいため、予防策としては感染猫との接触を避けること、ワクチンを接種して予防することが効果的です。

<まとめ>
猫のワクチンは犬のワクチンに比べて効果は劣るものの、感染リスクを下げることはできます。恐ろしい感染症を避けるためにも、定期的なワクチンの接種をおすすめします。

浦安、行徳近辺で猫の混合ワクチンについて詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。

行徳どうぶつ病院
獣医師
大山 美雪