診療予約

ブログ

混合ワクチンも打ちましょう! 

2023.06.23

 犬のワクチンには狂犬病ワクチンと混合ワクチンがあります。狂犬病ワクチンについては、前回の記事でお話ししましたね。
今回は混合ワクチンについて解説していきます。

<混合ワクチンってなに?>
狂犬病以外にも、犬は様々な感染症にかかります。特に重要な感染症についてはワクチンがつくられています。狂犬病以外の犬用ワクチンは、複数の感染症に対するワクチンを混合して作られているので「混合ワクチン」と呼ばれます。
混合ワクチンに含まれる犬のワクチンは、コアワクチンとノンコアワクチンの二つにわけられます。
コアワクチンは生活環境にかかわらず、すべての犬が接種するべきワクチンのことです。対象疾患は感染すると致死率が高い、もしくは重症化しやすい病気がほとんどです。犬では犬ジステンパーウイルス感染症、犬アデノウイルス感染症(1型と2型)、犬パルボウイルス感染症が該当します。
ノンコアワクチンは生活環境や感染リスクに応じて接種すべきワクチンのことで、国によって推奨されているものが異なります。日本では感染力の高いパラインフルエンザ感染症、発生地域は限られていますが感染すると重症化しやすいレプトスピラ症が該当します。

<なぜワクチンを打たなければいけないの?>
感染症の法則にシャルル・ニコルの法則と呼ばれるものがあります。集団の中の70%に免疫がついていれば感染症は流行しないという法則です。飼われている犬の7割が混合ワクチンを打っていれば、危険な感染症の蔓延を防ぐことができます。

<犬のワクチンプログラムってなに?>
犬の感染症を防ぐためには正しいワクチンの接種が有効です。犬に確実に免疫を獲得させるためには、適切なタイミングでワクチンを接種してあげる必要があります。犬のワクチンについては世界小動物獣医師会(WSAVA)という団体が、ワクチンプログラムを定めています。日本の動物病院では、このプログラムに従ってワクチンを接種することがほとんどです。
WSAVAのワクチンプログラムでは、子犬には生後6〜8週齢で初回の接種を行ない、以降、2〜4週おきに16週齢までワクチンを接種することが推奨されています。これは、母子免疫の影響を受けないようにするためです。
生まれたばかりの子犬は、お母さんから受け継いだ母子免疫によって守られています。母子免疫がはたらいているあいだは、ワクチンを接種しても母子免疫に無効化されて、子犬自身の免疫を誘導することができません。母子免疫が切れて、子犬が無防備になるタイミングに合わせてワクチンを打つことが理想ですが、そのタイミングには個体差や、病気ごとの差があり、予測が困難です。そのため、多くの子犬で母子免疫が切れ始める8週齢より前から、完全に切れる16週齢よりあとまで、こまめにワクチンを打つ必要があるのです。
ワクチンプログラムにおける16週齢までのワクチン接種のあとは、生後半年、あるいは1年で追加接種を行い、以降はコアワクチンでは3年ごと、ノンコアワクチンでは1年ごとに接種することが推奨されています。
日本で流通している混合ワクチンはコアワクチンとノンコアワクチンが合わさったものでです。そのため、ノンコアワクチンに合わせて1年ごとの接種が推奨されます。

<犬の主な感染症を詳しく知りたい!>

狂犬病を除く犬の感染症としては、以下のようなものがあげられます。

●ジステンパーウイルス感染症
ジステンパーウイルスによる感染症です。犬では致死率が50〜90%にのぼる恐ろしい感染症です。飛沫感染するためと感染力もとても強いです。
感染すると3〜7日後に発熱が起こり、くしゃみ、食欲不振、結膜炎、白血球減少がみられるようになったあと、下痢、血便、肺炎を起こします。

●犬伝染性肝炎
犬アデノウイルス1型による感染症です。糞尿、唾液を介して経口・経鼻感染します。ジステンパーウイルス感染症に比べると致死率は低いですが、重症になりやすい病気です。
感染すると2〜8日の間に元気消失、水っ鼻、涙を流す、発熱、腹痛などの症状があらわれます。

●犬伝染性喉頭気管炎
犬アデノウイルス2型による感染症です。軽症ですむ場合が多く致死率は低いものの、空気感染するため、あっというまに集団が広がります。
感染すると3〜6日で発熱、食欲不振がみられ、その後に咳をするようになります。激しい運動や興奮したあとに症状が出やすいです。

●パルボウイルス感染症
犬では致死率の高い感染症のひとつで、感染力もとても強いです。
感染すると4〜7日のうちに元気食欲が低下し、嘔吐、下痢、血便が起こります。2ヶ月齢未満の子犬は、治療が遅れると急死することがほとんどです。また妊娠犬では流産・死産の原因になります。1歳以上だと症状が現れないこともあります。
パルボウイルスに汚染された場所は特殊な消毒が必要になるため、爆発的な感染力と相まって、動物関連の施設ではもっとも恐れられている感染症です。

●パラインフルエンザ感染症
パラインフルエンザウイルスによる感染症です。軽症ですむ場合が多く致死率は低いものの、空気感染するため、あっというまに集団が広がります
感染すると3〜5日で発熱、くしゃみ、咳が出始めます。肺が弱って細菌などの別の病原体の二次感染が起きると肺炎を起こします。

●レプトスピラ感染症
レプトスピラという細菌による感染症で、ネズミの糞尿に含まれる菌が犬の体につくことで感染します。主に肝臓と腎臓を侵します。
感染してから5〜14日で発熱、元気消失、食欲不振が起こり、続いて口の粘膜の内出血、黄疸が起こります。
元々は農村で起こる感染症でしたが、最近では都市部でもネズミがよくみられるため、都会での感染も起こるようになっています。

<まとめ>
ワクチンを投与しても感染症にかからないわけではありませんが、恐ろしい病気に感染しにくくするため、また万が一感染した場合に命を助けるために、ワクチン接種は大きな効果があります。混合ワクチンを年一回投与することで、愛犬の健康を守りましょう。

浦安、行徳近辺で犬の混合ワクチンについて詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。

行徳どうぶつ病院
獣医師
大山 美雪