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誤食に注意!〜食べ物以外〜

2023.03.24

犬猫が口にしてしまうのは食べ物とは限りません。前回は人の食べ物による中毒について解説しましたが、その他にも身の回りには、犬猫にとって危険なものがたくさんあります。
今回は食べ物以外で起こす中毒について解説していきます。

●ユリ科植物
花束のプレゼントとして定番のユリ。台所やテーブルの上で、花瓶に入れると綺麗ですよね。ユリ科植物にはチューリップ、カサブランカなどが含まれ、園芸でおなじみの植物です。しかしこれらのユリ科植物は猫にとっては腎臓障害を引き起こす猛毒の植物です。葉や花を齧るだけでではなく、花を生けていた水を舐めるだけでも中毒を起こします。猫には猛毒ですが、他の動物で腎臓毒性の報告はありません。
症状は嘔吐、食欲不振、元気の低下です。口にしてから2〜6時間で症状が出始め、24〜72時間で腎不全が生じるとされています。
腎不全まで進むと助からないことがあるため、口にして24時間以内に治療を開始しなければなりません。

●かび
かびが体によくないというのはよく知られています。マイコトキシンと呼ばれる、かびが作る毒を食べることは、人を含むあらゆる動物で強い毒となります。
中毒症状は30分から3時間の間に起こります。
症状は主に神経症状で、けいれん、知覚過敏、四肢の過進展(筋肉がつっぱること)、昏睡などです。他にも嘔吐や頻呼吸を起こします。

●洗剤
食器洗い用や洗濯用、洗剤は家庭には欠かせないものです。それだけに、動物が誤食する機会も多いです。
洗剤に含まれる化学物質のほとんどは刺激性があり、また酵素成分が含まれるために、動物が誤って摂取すると、喉や胃の中を傷つけることがあります。
中毒は4時間以内に、嘔吐、下痢、唾液分泌過多、悪心、口の粘膜の炎症などの症状が現れます。皮膚についた場合は紅斑、皮膚炎、化学反応による熱傷が起こることがあります。また、嘔吐や悪心が続くと洗剤の混ざった胃液を誤嚥して、肺炎を生じることもあります。

●殺虫剤・除草剤
殺虫剤や除草剤に含まれる化学成分は、量によっては動物に中毒を起こすことがあります。成分はさまざまで、中毒を起こし始める時間にも差はありますが、いずれもふるえ、痙攣などの神経症状を起こします。家庭用のものは農薬に使われる量を薄めたものがほとんどなので、重篤になることは少ないですが、大量に舐めてしまった場合や体にかかってしまった場合は中毒を起こすことが考えられます。管理には十分に注意しましょう。

●タバコ
タバコの誤食は子犬子猫といったなんでも口にしてしまう年頃の子や、拾い食いの癖がある子に起こりえます。吸い殻を食べてしまうことがほとんどで、灰皿や道端のポイ捨てには注意が必要です。
タバコに含まれるニコチンは中枢神経を刺激し、動物に神経症状を起こします。
症状が現れるのは通常15〜90分で、嘔吐、可視粘膜蒼白、唾液分泌過多、ふるえ、呼吸や脈の異常などが現れます。
また、タバコは副流煙も動物にとって呼吸器疾患の大きな問題となり、煙が重力で下に落ちることで犬猫は煙を吸い込むことが多くなります。また、体を舐めるグルーミングで毛についたものを飲んでしまうことがあります。

 

●防水スプレー
防水スプレーは雨の日やキャンプのテントによく使われる身近な便利グッズです。注意書きに「換気を十分にして」と書かれていますが、人の医療では肺の中に張り付いて呼吸をできなくなることがあるとされています。
犬猫においても同じような毒性があり、しかも人より体が小さい分、少しの量でも呼吸ができなくなることがあります。
症状は、軽いものでは咳や喉の違和感による吐き気、重いものでは呼吸困難を引き起こします。エキゾチックアニマルでも同様で、特に鳥では死亡例が多くあります。
また、タバコの火など熱源がそばにあった場合は成分が加熱され、より強い毒性のある物質に変わります。防水スプレーを使う時には、動物が吸い込まないように大きく距離をとり、換気を十分にすることが大切です。

まとめ
食べ物ではないものを食べる理由として、人が落としたものを面白がって遊んでしまったり、おやつと間違えて反射的にのみこんでしまった場合が考えられます。
誤飲はしつけで抑えるのが難しいため、基本的には食べられないように飼い主が気をつけていくことが1番の対処法になります。
仮に拾い食いをしても、強く叱ると取られないようにあえて飲み込んでしまうことがあるため、飼い主が冷静になることが大切です。
いずれも処置が早いほど回復がしやすく、遅れるほど回復がしにくいと言われています。
食べ物でないものを飲み込んだと気がついた時はすぐに動物病院に連れてきてください。

浦安、行徳近辺で犬や猫の誤食について詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。

行徳どうぶつ病院
獣医師
大山 美雪