2022.11.04
猫の慢性腎臓病(慢性腎不全)は老齢期での発症が多く、死亡率の高い病気です。
健康な腎臓はおしっこを作ることで体の中のいらないものや毒素を捨てたり、必要なものをもう一度体の中に戻したりすることができます。
この腎臓の機能が失われてしまうと、体の中の毒素を排出できなくなるため、身体の中に毒素が溜まり、やがて命を落とすことになるのです。
猫が腎臓病になると、おしっこが薄くなり、のどが渇くために水を飲む回数・量が増えていきます。
では、なぜおしっこが薄くなるのでしょうか。それには、ネフロンという構造が大きくかかわっています。
腎臓にはネフロンと呼ばれる構造がたくさんあり、猫では両方の腎臓で約40万個、犬は犬種にもよりますが、両方の腎臓で約80万個と言われています。
このネフロンのひとつひとつが尿を生成しています。
加齢やその他の原因でネフロンがダメージを受けると、回復することはありません。
ネフロンの数が減っても体が作るべき尿の量は変わりませんから、それぞれのネフロンが無理をして尿を作るようになります。
すると過労により機能が弱り、正常に働けるネフロンがさらに失われていくのです。
猫の慢性腎臓病は症状があらわれにくく、血液検査で発見されるときにはすでに腎臓の機能の3分の2が失われています。
普段から水を飲む回数や量、おしっこの回数を気にかけてあげることで、病気を早期発見できる可能性が高くなります。
失われてしまったネフロンを取り戻すことは出来ませんが、正常なネフロンの数をなるべく維持することで、共に過ごせる時間が長くなります。
猫の腎臓病について詳しく知りたい方は、行徳どうぶつ病院グループの獣医師までお気軽にお尋ねくださいませ。
行徳どうぶつ病院
獣医師
大山 美雪