2026.02.03
「最近、猫の毛玉が多い気がする」
そんな変化に気づいていませんか?
実は、猫の毛玉が急に増えるのは、体調の変化を知らせる大切なサインかもしれません。
特に中高齢の猫では、年齢による体の柔軟性の低下や、肥満、関節の問題などによって、十分な毛づくろい(グルーミング)ができなくなり毛玉が増えることがあります。また、若い猫でも、皮膚トラブルなどで毛玉が一時に増えることはあります。しかし、「急に増えた」という変化には注意が必要です。
この記事では、猫の毛玉が増える原因とその対処法を中心に詳しく解説していきます。

猫は本来、自分で体を舐めて毛づくろいをするどうぶつです。しかし、年齢を重ねると体の柔軟性が低下し、背中や腰、お尻周りなど届きにくい部分を舐めることが難しくなります。
高齢猫では筋力も衰えるため、グルーミングに必要な姿勢を長時間保つことが負担になります。また、加齢に伴って皮膚からの脂の分泌が増えることもあり、これが毛玉の形成を促進します(1)。そのため、以前は問題なくお手入れできていた部分にも毛玉ができやすくなります。
「うちの子、少しふっくらしてきたかも…」そう感じている方は要注意です。太りすぎた猫は、体の柔軟性が失われ、腰や背中、お腹周りに舌が届かなくなります。
特に首の後ろから背中にかけて毛玉が集中している場合は、肥満によって体が曲げにくくなっている可能性があります。肥満は関節への負担も大きくするため、グルーミング不足をさらに悪化させ、これが毛玉が蓄積していく要因のひとつになります。
猫の変形性関節症は、中高齢猫で非常に多く見られる病気です。12歳以上の猫を対象にした研究では、レントゲン検査で90%の猫に何らかの変形性関節症の所見が認められました(3)。また、6歳以上の猫100頭を調査した研究では、61%の猫に少なくとも1つの関節に関節炎があり、その中で毛づくろいの減少が観察されています(4)。
関節に痛みがあると、体を曲げたりひねったりする動作が辛くなります。その結果、毛づくろいの頻度が減り、腰や後ろ足周辺に毛玉ができやすくなります。
皮膚に問題があると、被毛の質が変わって絡まりやすくなることがあります。
皮膚に痒みや痛みがある部分は、猫が舐めるのを避けるため、その周辺だけ毛玉が集中することがあります。また、皮膚の状態が悪化すると被毛が乾燥したり脂っぽくなったりして、絡まりやすくなります。
行徳どうぶつ病院では、日本獣医皮膚科学会認定医の春日陽一郎先生による皮膚科専門診療を受け付けております。皮膚や被毛の異変が気になる方は、一度お問い合わせください。
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毛玉は放っておくとどんどん固くなり、皮膚を引っ張ります。動くたびに毛玉が引っ張られると、猫は痛みを感じて動きたがらなくなります。これがさらに運動不足や筋力低下を招く悪循環になっていきます。
毛玉の下の皮膚は蒸れやすく、細菌や真菌が繁殖しやすい環境になります。特に耳の後ろ、脇の下、内股などは毛玉ができやすく、放置すると皮膚に張り付いてしまいます。高齢猫では皮膚の弾力性が失われているため、毛玉による不快感が強く、皮膚ダメージも受けやすくなります(1)。
重度の毛玉は、家庭では除去できません。皮膚に張り付いた毛玉を無理に取ろうとすると、皮膚を傷つけてしまいます。全身に広がった場合は、安全のために麻酔をかけてバリカンで処置するケースに至る場合もあります。
これらのリスクを避ける為には、異変を感じた時に放置せず、早めに対処を行いましょう。日ごろからよく愛猫を観察し、変化に気づくことが大切です。日常ケアからまずは効果的に行っていきましょう。
毛玉予防で最も大切なのは、定期的なブラッシングです。
【目安】
短毛種: 週2〜3回
長毛種: 毎日
ブラッシングのポイントは以下の通りです。
ブラシは、短毛種にはラバーブラシやシリコンブラシ、長毛種にはスリッカーブラシやコームが適しています。猫の被毛タイプに合ったブラシを選びましょう。
できたばかりの小さな毛玉は、指で優しくほぐすことができます。毛玉の根元を指で押さえながら、もう一方の手で毛先から少しずつほぐしていきます。
コームを使う場合は、毛玉の下に指を入れて皮膚を守りながら、毛先から少しずつとかしていきます。一度に無理やり引っ張ると、皮膚を傷つけたり猫が嫌がったりするので注意してください。
固く絡まった毛玉や、皮膚に張り付いている毛玉は、家庭で無理に取ろうとしないでください。特に高齢猫では皮膚が薄く傷つきやすいため、無理は禁物です。「取れそうだから」と思ってハサミを入れると、思わぬ事故につながることがあります。
毛玉予防の最も効果的な方法は、定期的なブラッシングです。子猫の頃からブラッシングに慣れさせておくと、高齢になってからも受け入れやすくなります。
ブラッシングは毛玉予防だけでなく、皮膚の状態チェックや血行促進、飼い主様とのコミュニケーションの機会にもなります。猫が気持ちよく感じる部分から始めて、徐々に慣れさせていきましょう。
肥満による可動域制限を防ぐため、適正体重を保つことが大切です。定期的に体重を測り、太りすぎていないかチェックしましょう。肥満は毛づくろいの妨げになるだけでなく、関節への負担を増やし、糖尿病などの病気のリスクも高めます。
高齢猫では、関節の健康維持も毛づくろい能力に影響します。段差の少ない環境を整えたり、滑りにくい床材を使ったりすることで、関節への負担を軽減できます。
健康上の問題がない猫であれば、トリミングサロンの利用も選択肢の一つです。定期的なトリミングは、毛玉予防に効果的です。ただし、高齢猫や関節炎のある猫では、長時間の拘束がストレスになることがあります。猫の性格や健康状態に合わせて、適切な方法を選びましょう。
次のような症状が見られる場合は、すぐに当院までご連絡ください。
これらの症状は、関節炎や皮膚疾患、糖尿病、甲状腺の病気、腎臓病などが背景に隠れている可能性があります。「様子を見よう」と思っているうちに、病気が進行してしまうこともあります。早めの受診で、原因に応じた適切な治療を受けることが、愛猫の快適な生活を取り戻す第一歩です。
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無理にブラッシングすると、ますます嫌がるようになってしまいます。まずは猫が気持ちいいと感じる部分(顎の下や頬)を優しく撫でることから始めて、徐々にブラシに慣れさせましょう。それでも難しい場合は、動物病院やトリミングでの毛玉除去をおすすめします。
毛玉取りスプレーは、軽度の毛玉には効果がある場合もありますが、固まった毛玉には効果が限定的です。猫が舐めても安全な成分かどうかは必ず確認しておきましょう。
はい、短毛種でも毛玉はできます。特に高齢猫や肥満の猫では、毛が短くても絡まりやすくなります。短毛種だからと油断せず、週2〜3回のブラッシングを習慣にしましょう。
換毛期(春と秋)は抜け毛が増えるため、毛玉ができやすくなります。この時期は特に念入りなブラッシングが必要です。また冬場は乾燥で被毛が絡まりやすくなることもあります。
個体差はありますが、7〜8歳頃から体の柔軟性が落ち始め、毛玉ができやすくなる傾向があります。特に10歳を超えると、グルーミング能力の低下が顕著になります。定期的な健康チェックと合わせて、毛玉の状態も確認しましょう。
皮膚を傷つける危険があるため、おすすめしません。特に猫の皮膚は薄く、毛玉の下に皮膚が入り込んでいることも多いため、専門知識なしでバリカンを使うのは危険です。
監修:行徳どうぶつ病院 院長 名古孟大
(1) Bellows J, et al. Aging in cats: Common physical and functional changes. J Feline Med Surg. 2016;18(7):533-550.
(2) Hardie EM, et al. Radiographic evidence of degenerative joint disease in geriatric cats: 100 cases (1994-1997). J Am Vet Med Assoc. 2002;220(5):628-632.
(3) Slingerland LI, et al. Cross-sectional study of the prevalence and clinical features of osteoarthritis in 100 cats. Vet J. 2011;187(3):304-309.
(4) Ravens PA, et al. Feline atopic dermatitis: a retrospective study of 45 cases (2001-2012). Vet Dermatol. 2014;25(2):95-102.