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冬によくあるおしっこトラブル

2023.02.10

最近、おしっこトラブルを起こす犬猫が増えてきています。
しかしこの時期では決して珍しいことではなく、動物病院にとっては一種の風物詩のようなものです。
今回は犬猫に多い冬の尿トラブルのメカニズムと対処法を解説していきます。

冬におしっこトラブルが多い理由

冬に尿トラブルが多い原因は主に二つあります。
ひとつめは運動を控えるから、もうひとつは水を飲む量が減るからです。

どんな動物でもそうですが、「寒い」という環境はバイタルサイン(生命兆候)における体温に影響を与えるため、自然と温かい場所を求めて移動しようとします。
人が寒いから外に出たくないのと同じで、寒さを避けて家に籠るようになってくると、運動量が減ってしまいます。

運動量が減ることで筋力が衰え、退屈な時間が増え、だんだんとストレスが溜まってくるようになると、尿トラブルにつながっていきます。
猫の場合、尿トラブルの5割はストレス性の膀胱炎(特発性膀胱炎)が原因とも言われています。猫は環境の変化に敏感な動物なので、急な来客があったあと、引っ越したあと、車で長く移動したあと、新しい家族が増えたときなど、大きな環境の変化が強いストレスになり、血尿につながることがあるようです。
どちらかといえば水を飲む量が減ることが大きな要因と考えられていますが、猫も寒さによるストレスがかかれば尿トラブルにつながる可能性はありえるでしょう。

犬の場合、外出する(散歩をする)というのはさまざまなものに触れる機会を増やし、脳への刺激を得ることができるので、ストレス発散になると言われています。(※ただし変化を嫌う性格の場合は、脳への刺激が過剰になりストレスになることもあります)
適度に防寒対策をしつつ積極的に運動をするだけでも、尿トラブルのリスクを下げることができます。

ふたつめの水を飲む量が減るというのは、温かいものを求めると同時に、冷たいものを避けようとしてしまうためです。
犬も猫も冬は飲水量が少なくなるため、尿が濃くなります。すると尿の結晶成分が結石になりやすくなるため、尿結石ができ、尿が通る道を塞いでしまうことがあります。するとおしっこをしたくても出てこない、ちょっとしか出てこなくて何度もトイレに通う、血混じりのおしっこがでるといった症状が出ます。
尿が出ない状態が続くと、体内の毒素が外に出せない状態(尿毒症)に陥るため、急いで処置をしなければ命を落としかねません。
「おしっこが出ていない」と気がついたらすぐに病院に連れてきてください。

お家でできる対策の仕方

運動をしなくなる、お水を飲まなくなると尿トラブルが起きやすいと前述しましたが、寒さの対策することで尿トラブルを起こすリスクを下げることができます。
ひとつめは動物が活動する部屋を適度に温めることです。
ヒーターをつけたりエアコンをつけたりして、部屋を温めます。ただし、エアコンの使用は部屋が乾燥するため、加湿器を置いて湿度を保ってあげましょう。特に生後まもない年齢や、高齢の動物は体温調節が苦手なため、注意してあげてください。生後まもない動物は尿トラブルよりも、低体温症のリスクが高くもあります。
ふたつめは飲み水をぬるま湯にすることです。水道水から出る水は冷たいため、動物も飲むのをためらってしまいます。熱いと舌を火傷してしまうため、適度な温度の水を用意してあげるとよく飲んで、おしっこを薄めることができます。
ただし、動物にミネラルウォーター(特に硬質な海外の水)を与えると、ミネラル成分によって尿結石ができやすくなってしまうことがあるため、水道水を与えるようにしましょう。

まとめ

今回は寒さを理由とした尿トラブルに焦点を絞りましたが、尿トラブルの原因は食事や肥満、体質、年齢、尿路感染の併発など、さまざまな因子によって引き起こされます。
しかし、急な冷え込みに早く対処をすることで、ある程度未然に防ぐことはできると思います。
もちろん、泌尿器のトラブルが全て尿路結石とは限りません。さらに怖い病気であることもあれば、ストレスによる一時的なものである場合もあります。
少なくとも、「おしっこが出にくい」「おしっこに血が混じっている」などの症状がみられた場合は、危険な状態になる前に、早めに動物病院に来てください。

浦安、行徳近辺で犬や猫のおしっこのトラブルについて詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。

行徳どうぶつ病院
獣医師
大山 美雪