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【猫が耳をかゆがる】飼い主様が知っておくべき原因と受診すべきタイミング|行徳どうぶつ病院【市川市】

2025.11.24

猫ちゃんが頻繁に耳を掻いている、頭を振っている姿を見ると、「大丈夫かな…」と心配になりますよね。

この記事では、千葉県市川市の行徳どうぶつ病院が、猫の耳のかゆみの原因と、今すぐ病院に行くべきサインをわかりやすく解説します。


猫が耳をかゆがっている時の5つのサイン

猫ちゃんは言葉で不調を訴えられません。そのため、飼い主様が行動の変化に気づいてあげることが大切です。

こんな行動が見られたら要注意

後ろ足で何度も耳を掻く
頭を左右に激しく振る
床や壁、家具に耳をこすりつける
耳を触ろうとすると嫌がる、逃げる
食事の時に頭を傾ける、痛がる様子がある
耳の周りの毛が薄くなっている

これらの行動が1日に何度も見られる場合、耳に強い不快感や痛みがある可能性が高いです。

今すぐ病院へ!緊急性の高いサイン

特に以下の症状がある場合は、緊急性が高いため、すぐに当院にご連絡ください。

  • 耳から膿のような液体が出ている
  • 耳が腫れ上がっている
  • 頭が傾いたまま戻らない
  • まっすぐ歩けない、ぐるぐる回る
  • 耳から強い悪臭がする

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猫の耳がかゆくなる4つの主な原因

1. 耳疥癬(ミミヒゼンダニ症)

ミミヒゼンダニ(学名:Otodectes cynotis)という寄生虫が外耳道に寄生することで起こる感染症です(1)。感染力が非常に強く、主に猫同士の接触によって感染します(1)。特に子猫や外出する猫に多く見られます。

耳垢の見た目:

  • コーヒーかすのような茶褐色の耳垢が大量に出ます(1)
  • 乾燥してカサカサしています
  • 猫は無症状のこともありますが、激しい耳の痒みと茶褐色の耳垢を伴う外耳炎を発症することが多いです(1)

2. マラセチアの異常増殖

マラセチアは真菌の一種で、猫の正常な皮膚にも存在しますが、免疫の低下などにより異常に増殖し、外耳炎を引き起こします(3)。皮脂を好むため、皮脂の多い耳で増殖しやすくなります。

耳垢の見た目:

  • 茶色~黒っぽい色
  • べたついた粘り気のある耳垢
  • 脂っぽくべたべたする
  • 独特の発酵臭、酸っぱい匂いが最大の特徴

3. アレルギー

食物アレルギーなどの症状の一つとして外耳炎が発症することがあります。

4. 耳道内の腫瘤やポリープ

腫瘤やポリープなどができている場合、耳垢が外に出ようとするのを物理的に妨げられるため、耳道内の環境が悪化し、細菌感染やマラセチアの感染を伴うようになります。

症状が気になる方はLINEで相談


耳垢の色と匂いで原因を推測する方法

正常な耳

健康な猫の耳垢は、やや茶色で少し湿り気があり、匂いはほとんどありません。正常な状態では耳垢はほとんど出ず、臭いもほぼしません。

異常な耳垢の特徴

原因性状匂いかゆみ
耳ダニコーヒーかす様の茶褐色乾燥・カサカサ少ない激しい
細菌黄色~黄緑色ドロッとした液状膿の匂い中~強
マラセチア茶色~黒べたついた粘性発酵臭・酸っぱい中~強

重要: これらはあくまで推測の目安です。正確な診断は動物病院での検査が必要です。

自己判断で市販薬を使用すると、症状を悪化させる危険があります。


【危険】放置すると起こる深刻な合併症

耳血腫(耳が腫れ上がる)

耳血腫は、耳の痒みに続発して発生することがあります(3)。猫が激しく頭を振ったり耳を掻いたりすることで、耳介の血管が破れ、軟骨と皮膚の間に血液が溜まります。

症状:

  • 耳が水風船のように腫れ上がる
  • 放置すると数週間かかり、耳介の著しい変形が残る

中耳炎・内耳炎(聴覚障害・バランス障害)

外耳炎が適切に治療されないと、感染は中耳、さらに内耳へと進行します。

最も深刻なケースでは:

  • 部分的または完全な聴覚喪失(耳が聞こえなくなる)(3)
  • 平衡感覚の障害(3)
  • 頭の傾き(斜頸)
  • ぐるぐる回る
  • まっすぐ歩けない

これらの神経症状が現れた場合、すでに内耳に不可逆的なダメージが生じている可能性があります。

こうなる前に、早期受診が何より重要です。

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当院の耳のトラブル診療について

日本獣医皮膚科学会 認定医による専門外来

行徳どうぶつ病院では、日本獣医皮膚科学会 認定医 春日陽一郎先生の専門外来を設けています。
慢性化した耳のトラブルなど最適な治療をご提案いたします。

当院の診療の流れ

  1. 詳しい問診と視診
  2. 耳鏡検査(耳の中を直接確認)
  3. 耳垢の顕微鏡検査
    • 耳ダニの有無
    • 細菌・真菌の確認
    • 炎症細胞の確認
  4. 必要に応じた追加検査
    • 細菌培養検査
    • アレルギー検査など
  5. 原因に応じた治療

なぜ動物病院での検査が必要なのか

ご家庭での観察である程度の推測は可能ですが、確定診断と適切な治療は必ず動物病院で受けることが重要です。

理由:

  • 複数の原因が同時に存在することがある
  • 原因によって治療法が全く異なる
  • 間違った治療は症状を悪化させる
  • 慢性化すると治療が困難になる

早期発見・早期治療が、猫ちゃんの苦痛を最小限にし、治療期間を短縮します。

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注意すべき猫種

スコティッシュフォールドやアメリカンカールなど、折れ耳の猫は外耳炎を起こしやすいため、より注意深い観察が必要です。

これらの猫種を飼っている飼い主様は、定期的な耳のチェックと、少しでも異常を感じたらすぐに受診することをお勧めします。


よくあるご質問(FAQ)

Q1. 耳掃除は家でしてもいいですか?

A. **基本的には不要です。**健康な猫の耳にはほとんど耳垢は出ません。

多量に耳垢が出ており、猫が気にしている場合は、すでに外耳炎を発症している可能性が高いため、すぐに受診をお勧めします。

Q2. 綿棒で耳掃除をしても大丈夫?

A. 絶対に使わないでください。

綿棒は耳垢を奥に押し込んでしまったり、猫が動いて耳道を傷つけてしまったりする危険性があります。

Q3. 市販の耳洗浄液を使っても大丈夫?

A. 原因がわからない状態で使用するのは危険です。

外耳炎の原因によって適切な治療が異なります。自己判断での使用は症状を悪化させる可能性があるため、必ず獣医師に相談してください。

Q4. 少しだけ耳垢が出ているけど、病院に行くべき?

A. 猫が気にしている様子があれば、すぐに受診してください。

「少しだけ」と思っていても、猫にとっては強い不快感がある場合があります。早期発見が治療期間を短縮します。

Q5. 多頭飼いで一匹だけ耳をかゆがっています。他の子にうつりますか?

A. 耳ダニの場合、非常に高い感染力があります。

すぐに受診し、必要であれば同居猫全頭の検査・予防を行うことをお勧めします。

Q6. 治療はどのくらいかかりますか?

A. 原因や重症度によって異なります。

  • 耳ダニ:1~2週間程度
  • 細菌・真菌感染:2~4週間程度
  • 慢性化している場合:数ヶ月かかることも

早期受診ほど治療期間は短くなります。

Q7. 予防する方法はありますか?

A. 原因によって異なりますが:

  • 耳ダニ予防:新しい猫を迎える時は必ず耳のチェックをする、定期的な予防薬の投与
  • 定期的な健康チェック:週に1度程度、耳が汚れていないか確認
  • 異常を感じたらすぐ受診:早期発見が最大の予防

Q8. セカンドオピニオンとして受診できますか?

A. もちろん可能です。

当院には日本獣医皮膚科学会認定医の春日陽一郎先生の専門外来もございます。他院で治療がうまくいかなかったケースでも、お気軽にご相談ください。

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まとめ|猫の耳のかゆみは「すぐに病院」が鉄則

猫の耳のかゆみには、耳ダニ、細菌、マラセチア、アレルギーなど様々な原因があります。

最も大切なことは:

✓ 様子を見ずに、すぐに動物病院を受診すること
✓ 自己判断で市販薬を使用しないこと
✓ 早期発見・早期治療が猫ちゃんの苦痛を最小限にすること

少しでも異常を感じたら、迷わずご相談ください。

愛猫の健康を守るために、飼い主様の「早めの行動」が何より重要です。


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所在地

行徳どうぶつ病院
〒272-0132 千葉県市川市湊新田2丁目3−6

診療時間

午前 / 9:00 – 12:00
午後 / 15:00 – 19:00
水曜日 休診
お電話またはLINEでお問い合わせください。

こんな症状があったら今すぐご連絡を

  • 耳を頻繁に掻いている
  • 頭を振っている
  • 耳から異臭がする
  • 耳垢が大量に出ている
  • 耳を触ると嫌がる

愛猫の「いつもと違う」に気づいたら、すぐにご相談ください。

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監修医師

行徳どうぶつ病院 院長 名古孟大


参考文献

  1. Yang C, Huang HP. Evidence-based veterinary dermatology: a review of published studies of treatments for Otodectes cynotis (ear mite) infestation in cats. Vet Dermatol. 2016;27(4):221-e56.
  2. Fanelli A, et al. Otodectes cynotis in urban and peri-urban semi-arid areas: a widespread parasite in the cat population. J Parasit Dis. 2020;44(2):481-485.
  3. Brame B, Cain C. Chronic Otitis in Cats: Clinical management of primary, predisposing and perpetuating factors. J Feline Med Surg. 2021;23(5):433-446.
  4. Shokri H, et al. Occurrence of Malassezia Species in Persian and Domestic Short Hair Cats with and without Otitis Externa. J Vet Med Sci. 2010;72(3):293-296.