目の病気は、ときに失明につながることもある見過ごせないものです。このページでは、行徳どうぶつ病院の過去のデータからとくに発症が多いと思われる以下7つの疾患をピックアップし、その症状の特徴や当院での対応を説明します。なお、個々の状態に応じて治療法を変えることもあるため、記載している対応方法と実際の対応方法が異なる場合もございます。
涙が目頭から流れっぱなしになります。目から鼻にかけて汚れがつきやすくなったり毛が濡れて毛の色が変わったり(涙焼け)、皮膚炎を起こしたりすることがあります。
犬はトイプードル、マルチーズなど小型犬種、猫はペルシャ、スコティッシュフォールド、ヒマラヤンなどの短頭種に多く見られます。
おおまかに3パターンが存在します。
①睫毛が目に触れるなど、物理的な刺激で涙の量が増える
②目から鼻へ涙が抜ける管が詰まって目に涙が溜まる
③下まぶたが下垂し、涙をためることができなくなる
①の原因に対して:睫毛を抜くなど、目を傷つける原因を排除します。
②の原因に対して:まずは点眼によって涙の管の通りをよくする治療を行います。
それでは効果が表れない場合は、麻酔下で涙の管を洗浄し、涙が鼻に抜けるようにします。
③の原因に対して:手術で目の形を整えます。
ひとではドライアイと言われる眼の病気です。涙の水分が減ることで目が乾燥し、傷がつきやすくなります。目を痛そうにしばしばしたり、気にして目をこするいぬねこもいます。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、イングリッシュ・ブルドック、シーズー、ウェスティ、ハイランド・ホワイト・テリア、パグ、アメリカン・コッカー・スパニエル、ペキニーズ、ボストン・テリア、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャーテリア、ラサ・アプソといった犬種はかかりやすいです。
乾性角結膜炎の原因には、眼の炎症を繰り返している、生まれつき涙が出にくい、目の怪我、薬の影響、放射線障害、感染症、ホルモン異常などさまざまな原因があります。もっとも多い原因は自己免疫疾患と言われています。
人工涙液の点眼を行います。自己免疫性疾患による場合は、免疫抑制剤の点眼や眼軟膏を使用します。そのほか、原因疾患に応じた治療を行います。
見た目は結膜炎のように見えますが、瞳の中に赤みがあったり、白いものが浮いて見えることがあります。強い目の痛みがあるため、涙がたくさんでたり、目をしばしばさせていることが多いです。角膜と目のレンズのあいだにある虹彩などの炎症が多いですが、瞼の奥の網膜の近くまで炎症が広がっていることもあります。
すべての犬種・猫種で起こりえます
感染性(藻類、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫)、外傷、腫瘍、ホルモンの異常や高血圧、自己免疫疾患、中毒などさまざまな原因で起こります。検査をしても原因を特定できないこともあります。
目の痛みや炎症を抑える目薬や飲み薬を使って対処していきます。ブドウ膜炎はさまざまな原因で発生するため、各種検査で体の状態を調べて原因を特定し、その原因を取り除く治療も行います。
目の表面を覆う角膜は、角膜上皮と実質という2つの層にわかれています。この2つの層は本来密着していますが、難治性潰瘍性角膜炎になると実質から上皮がはがれてしまい、角膜の炎症が続く状態に至ります。
いぬではシー・ズー、アメリカンコッカースパニエル、パピヨン、ミニチュア・シュナウザーが多いとされます。ねこではヘルペスウイルス感染症をきっかけにに発症することがあります。
睫毛や瞼の異常、涙液膜の異常、目の神経の異常、目の中の異物や寄生虫、適切ではない目薬の使用、角膜の病気、糖尿病や甲状腺機能低下症、クッシング症候群などのホルモンの異常、ステロイドの影響
潰瘍を起こしている部分を削って角膜再生を促す処置をし、人工涙液の目薬やコンタクトレンズを使って悪化を防いでいきます。良くならない場合は手術が必要になるため、専門医への紹介を行っています。
瞳が白っぽく濁る病気で、視覚に異常はありません。
歳をとったいぬで起こりやすくあります。ねこでも時々みかけます。
水晶体(眼のレンズの部分)が歳をとって縮み固くなって起こります
生活に支障はないため、経過観察します。
瞳が白っぽく濁る病気で、視覚を失っていきます。
ほぼ全ての犬種で起こり得る病気で、高齢での発症がほとんどです。ねこではまれです。
加齢、遺伝、外傷、ホルモンの異常(特に糖尿病)。水晶体の中が濁って透明さを失うことで目が見えなくなります。
薬での治療は難しいため、外科手術が可能な専門医への紹介を行います。
目には、形を丸く保つために内側から圧力がかかっています。この圧力が高くなりすぎてしまう病気を緑内障といいます。緑内障になると、目の腫れ、結膜炎、目の痛みといった症状が現れます。
柴犬は発症しやすいと言われています。
眼の中には房水と呼ばれる水が常に流れています。なんらかの原因で房水の排出口が狭くなったり詰まったりすると、房水が眼に溜まり続けて眼にかかる圧力が上がります。ブドウ膜炎や白内障などの目の病気が原因になる場合と、生まれつき排出口が狭いといった生まれつきの体質が原因になる場合があります。
目薬や飲み薬で眼圧を下げる治療を行います。薬が効かなくなってきた場合は、眼の痛みをなくすために眼球摘出を行います。
文責:獣医師 大山 美雪