診療予約

ブログ

猫の熱中症について

2024.07.26

徐々に夏の暑さが感じられるようになってきましたが、夏場の猫は熱中症のリスクにもさらされており、その健康を守るためには飼い主としての適切な対策が求められます。猫は人間に比べて体温調節が苦手で、熱中症になると深刻な健康問題を引き起こすことがあります。今回は猫の熱中症に関する知識を深め、予防策と対処法を理解することで、愛猫を暑い夏から守るためのポイントを紹介します。

熱中症とは?

熱中症とは、体内の熱を効果的に放出できずに体温が上昇し、様々な臓器に障害をもたらす状態です。猫は発汗能力が限られているため、主に舌を使って体温調節を行います。このため、外気温が高くなると、体内の熱を逃がすことが難しくなり、熱中症のリスクが高まります。

熱中症の症状

猫が熱中症にかかると、以下のような症状を示すことがあります。

初期症状
・高い体温(通常の体温以上)
・舌を出してハァハァと口で呼吸をする
・元気がなく、動きが鈍くなる、ふらつく
・頻脈(心拍数が増加)
重篤な症状
・虚脱状態(ぐったりして意識がない)
・下痢・嘔吐、ふるえ
・意識が朦朧とする、動きが鈍くなる
・痙攣発作
・ARDS(急性呼吸窮迫症候群)
これらの症状が見られた場合は、速やかに獣医師の診察を受ける必要があります。

注意が必要な猫

短頭種(ペルシャ、エキゾチックショートヘアなど)は気道が短く、呼吸による体温調整が苦手です。長毛種(ノルウェージャンフォレストキャットなど)は熱の放散がしにくいため、熱中症に陥りやすいです。
肥満体型の猫は体内に熱がこもりやすく、首周りの脂肪が呼吸機能を低下させます。高齢の猫や認知機能不全症候群に陥っている動物は体温上昇と脱水症状を引き起こしやすく、熱中症になりやすいです。
また、心臓(心筋症など)や呼吸器に病気(慢性呼吸器疾患など)を抱えている猫は、呼吸状態の悪化により熱中症のリスクが高まります。

予防と対策

屋内
・風通しを良くする。猫が自由に居場所を選択できるようにする。
・室内温度は26℃以下に保つ。外出時も冷房を入れておく。
・直接日光が当たらないようにする。十分な飲水ができるようにする。
・押し入れなどの狭い場所に閉じ込めないように注意する。
屋外
・キャリーバッグに保冷剤や凍らせたペットボトルを入れる。
・車での移動時、外気温が25℃を越える場合は締め切った車内に猫を残さない。

熱中症の応急処置・対処法

熱中症の疑いがある場合は、以下の緊急対処を行いながら速やかに獣医師の診察を受けてください。
・常温の水を全身にかけ、濡れた冷たいタオルで体を冷やす。特に首、脇の下、股関節など太い血管がある場所を冷やすと効果的。ただし、体温を下げすぎないように注意する。
・涼しい場所に移動させ、エアコンや扇風機を使って冷却する。猫が飲めるなら水を少しずつ与える。
症状が改善しても、獣医師の診察を受けましょう。内臓への影響が潜在的に残っている場合があるため、経過観察が必要です。

夏は厳しい季節ですが、熱中症に対する適切な予防と対処法を知ることで、愛猫の健康を守ることができます。皆様の愛猫が健康で快適に夏を過ごせるよう、しっかりとケアしてあげてください。

浦安、行徳近辺で猫の熱中症について詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。

行徳どうぶつ病院 院長
獣医師
陶山 雄一郎