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神経科ブログ⑥ てんかんの分類について(その1)

2023.03.16

今回から「てんかん」をちょっと詳しくお話していきたいと思います。
てんかんを「病気の原因」によるもので分類すると「特発性てんかん」、「構造性てんかん」に分かれます。

特発性てんかん
脳に腫瘍、炎症、水頭症、脳血管障害などの病変がないため、脳の画像診断検査(MRI、CT、レントゲン)をしても異常は認められません。特発性てんかんは、さらに遺伝性、おそらく遺伝性、原因不明の3つに分けられます。
初めての発作が起こった年齢が1歳から5歳位までのことが多いです。

構造性てんかん
脳に発作の原因となる腫瘍、炎症、水頭症、脳血管障害などの病変が認められるときに発作が繰り返し起こります。こちらはMRIなどの画像検査でわかります。
発症年齢は脳腫瘍であれば7歳以上、水頭症であれば1歳未満で起こることが多いです。

次に、治療についてお話しします。画像診断検査などで脳炎や脳腫瘍などの活動性病変が見つかった場合(構造性てんかん)はてんかん発作のコントロールだけでなく、その病気に対する治療もする必要があります。病気が進行性の場合はてんかん発作のコントロールが難しくなることも多く、発作止め薬の増量や別のお薬を追加する必要が出てきます。また、特発性てんかんの場合は発作をコントロールすることだけに専念できます。

よって両者の鑑別は治療方針が立てやすくなることや今後起こりうる症状の予測ができるため、とても重要です。ただ、ワンちゃん、ネコちゃんがM R IやC T検査などをする場合、全身麻酔をかけなければならないことや検査費用が高額であるため、検査をためらわれる飼い主さんも少なくありません。また、高齢であったり心臓や腎臓などに持病を持っているワンちゃん、ネコちゃんでは全身麻酔をかけることが難しい場合があります。その場合は初めて発作が起こった年齢やてんかん発作以外の症状(運動異常、旋回運動、行動異常など)の有無、神経学的検査で異常がないかどうかを確認し、特発性てんかんが疑わしい場合は飼い主さんとご相談の上、特発性てんかんと仮診断し、治療を始める場合もあります。また、脳内に病変の存在が強く疑われる場合は脳のMRI検査をお勧めしますが、検査が難しいときは初めててんかん発作が起こった年齢や神経学的検査の結果、てんかん発作以外の症状を手掛かりに病気を予想し、対症療法を行っていきます。但し、確定診断をした上での治療ではありませんので、こちらも飼い主さんとご相談の上、進めることになります。
てんかん発作の診断や治療について詳しくお聞きなりたい場合はお気軽に当院にご相談下さい。

行徳どうぶつ病院
神経科担当獣医師
大内 詠子