2024.12.27
うさぎがいつもより食べ物に興味を示さない、好きなものしか食べない場合、これは食欲不振の兆候です。食欲不振にはさまざまな原因があり、他の症状と組み合わせて診断し、適切な治療を行うことが必要です。今回は、うさぎの食欲不振の背後にある可能性のある病気について詳しく見ていきましょう。
消化管の鬱滞は、ストレス、不適切な食餌、被毛や異物の摂取が原因となります。ストレス要因としては、飼育環境の変化、温度・湿度の変動、捕食動物(犬や猫など)の存在、病気による痛みなどがあります。また、果物、穀物、澱粉など繊維質の少ない食餌や、一気に食べることで胃に負担がかかるペレットの摂取も原因になります。特に被毛は、うさぎが自分の毛を飲み込んでしまうことが多く、消化管内で絡まり鬱滞を引き起こします。その他にも紙、プラスチック、布、ゴム、乾燥豆類などの異物が報告されています。
不正咬合は、外傷、食餌の内容、遺伝、感染、老化が原因となります。特に外傷と食餌が大きな要因です。外傷では、うさぎが暴れたときに顔を強打したり、ケージをかじったりすることで歯根部が傷つくことがあります。食餌については、牧草などを噛み砕くことで奥歯を削る作用がありますが、ペレットばかり食べると歯が十分に削れず、不正咬合を引き起こします。
感染症は下痢、皮膚病、神経症状を引き起こすことがあります。下痢の原因としては、クロストリジウム(細菌)、蟯虫、コクシジウム(寄生虫)などが挙げられます。皮膚病の原因には、トレポネーマ(細菌)、皮膚糸状菌(カビ)などがあり、寄生虫によるものとしてはツメダニ、ヒゼンダニ、ノミが報告されています。神経症状では、内耳異常を引き起こすパスツレラ菌(細菌)や、小脳の炎症を引き起こすエンセファリトゾーン(微胞子原虫)の感染が考えられます。
その他、子宮疾患(子宮腺癌、子宮蓄膿症など)、体表腫瘍、代謝性疾患(肝臓、腎臓など)、骨折・脱臼なども食欲不振を引き起こすことがあります。
このように、食欲不振の原因は多岐にわたります。これらの原因を特定するためには、飼い主からの情報が重要です。飼い主の観察や報告を基に、身体検査、血液検査、画像検査(レントゲン、超音波検査、無麻酔CT)などを組み合わせて診断を行い、適切な治療を行います。
うさぎの食欲不振は軽視できない問題です。早期に原因を特定し、適切な対処を行うことで、うさぎの健康を守ることができます。
半日便が出ていない、食欲が落ちているなどの消化器症状が見られる場合は、過度な様子見をせず、早めに病院を受診することをお勧めします。
浦安、行徳近辺でうさぎの食欲不振について詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。
行徳どうぶつ病院
獣医師
陶山 雄一郎