2025.10.24
目次
以下の項目、いくつ当てはまりますか?
肋骨を触っても骨が分からない
真上から見てくびれが全くない
お腹が床と平行、または垂れている
階段の上り下りを嫌がるようになった
背骨や腰骨が以前より触りにくい
→ 3つ以上該当:要注意 | 今すぐチェック方法を確認しましょう
✓ 自宅で3分でできる体型チェック方法(BCS評価)
✓ 見落としがちな筋肉量チェック(MCS評価)
✓ 肥満が引き起こす病気リスク(科学的データ)
✓ 継続しやすいチェック習慣のコツ
日本の犬の約40%、猫の約30%が肥満傾向にあります(German, 2006)。さらに深刻なのは、飼い主さんの約60%が「うちの子は適正体重」と認識しているものの、実際には肥満というケースです。
関節疾患: 約2.5倍
糖尿病(猫): 約3.9倍
心臓病: 約1.5倍
手術時の麻酔リスク: 約2倍
一方、適切な体型を維持することで健康寿命が平均1.8年延びるという研究結果も報告されています(Kealy et al., 2002)。
BCSは、犬猫の体脂肪量を評価する世界標準の方法です。世界小動物獣医師会(WSAVA)が推奨しており、9段階で評価します(Laflamme, 1997; WSAVA Global Nutrition Guidelines)。
1〜3: 痩せすぎ

4〜5: 理想体型 ← 目指すのはここ

6: 太りぎみ

7〜9: 肥満

重要: BCSが1段階上がるごとに体脂肪が10〜15%増加します。「ちょっとぽっちゃり」でも、健康リスクは確実に高まります(Laflamme, 1997)。
所要時間:3分 | 週1回の習慣に
方法:
犬猫の背中に親指を置き、肋骨を優しく触る。長毛種は毛をかき分けて皮膚に直接触れる。
理想体型:
薄い脂肪層がありながら、肋骨を簡単に触れる(自分の手の甲の骨を触る感覚に似ている)
肥満のサイン:
肋骨が全く触れない、または強く押さないと分からない

方法:
犬猫を横から見て、お腹のラインを確認。
理想体型:
胸からお腹にかけて適度に吊り上がっている(くびれている)
肥満のサイン:
お腹が垂れ下がっている、または地面と平行
時短ワザ: ご飯の準備中など、立っている状態のときに横から見るだけでOK。

方法:
犬猫を真上から見下ろし、ウエストから腰にかけてのくびれを確認。
理想体型:
胸の後ろから腰にかけて、ゆるやかにくびれている(砂時計のような緩やかなカーブ)
肥満のサイン:
くびれが全くない、または腰より胴が太い
方法:
腰の骨を優しく触り、どれくらい浮き出ているか確認。長毛種は毛をかき分ける。
理想体型:
薄い脂肪や筋肉で覆われているが、骨を触ることができる
BCS(体脂肪)だけでは不十分です。特にシニア期では、脂肪よりも筋肉が先に減少します(Freeman, 2012)。
筋肉量を評価する方法で、頭・肩・腰・骨盤を触って4段階で判定します。
正常な筋肉量
軽度の筋肉減少
中程度の筋肉減少
重度の筋肉減少

犬: 7歳以降、年間約3〜5%ずつ筋肉量が減少
猫: 11歳以降、同様に減少
早期発見で健康寿命が平均1.5〜2年延びる(Freeman, 2012)。
月1回、以下をチェックしてください:
階段の上り下りを嫌がるようになった
ジャンプの高さが低くなった、しなくなった
散歩の距離が短くなった、途中で休む
寝ている時間が増えた
背骨や腰骨が以前より触れやすい
→ 2つ以上該当する場合は要注意
「最近うちの子は落ち着いてきた」と思われていたシニア犬が、実は筋肉量の減少で動きたくなくなっていたケースを多く見てきました。BCSとMCS、両方のチェックが大切です。
Q1:柴犬の適正体重は?
A: オスで9〜11kg、メスで7〜9kgが目安ですが、個体差があります。BCS評価の方がより正確です。
Q2:避妊・去勢後は太りやすい?
A: はい。特に猫は太りやすくなります。ホルモンバランスの変化で代謝が低下するためです。術後は食事量を10〜20%減らすか、体重管理用フードへの切り替えを検討してください。
Q3:多頭飼いの場合のフード管理は?
A: 他の子のフードを食べてしまうケースが多いため、別々の部屋で食事させる、食事時間をずらす、食事中は監視するなどの工夫が必要です。
Q4:シニア犬が痩せてきたが食欲はある。病気?
A: 食欲があるのに体重が減る場合、甲状腺機能亢進症、糖尿病、腫瘍などの可能性があります。早めに動物病院で検査を受けることをおすすめします。
BCSとMCSは、犬猫の健康状態を客観的に評価できる便利なツールです(Laflamme, 1997; Freeman, 2012)。
この記事のポイント
✓ 週1回×3分のチェックで肥満・筋肉減少を早期発見
✓ BCS(体脂肪)とMCS(筋肉量)両方の評価が重要
✓ 適切な体型維持で健康寿命が平均1.8年延びる(Kealy et al., 2002)
✓ スマホ記録で継続しやすく
今日からできる3つのアクション
今すぐ: 愛犬・愛猫の写真を3枚撮影(横・上・正面)
今週中: 体重測定とBCS・MCSチェック
今月中: カレンダーに「毎月○日=体型チェック」と登録
こんな時は動物病院へ
以下の場合は、早めにご相談ください:
急に体重が5%以上減った
食欲があるのに痩せてきた
明らかに筋肉量が減っている
BCSが2段階以上変化した
運動を嫌がるようになった
行徳どうぶつ病院では、愛犬・愛猫の体型管理・健康チェックをサポートしています。
「うちの子、太りすぎかも?」「最近痩せてきた気がする」など、些細なことでもお気軽にご相談ください。
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行徳どうぶつ病院
院長:名古孟大 獣医師
千葉県行徳エリアの飼い主様とどうぶつの健康を、私たちが全力でサポートいたします。
Laflamme, D. P. (1997). Development and validation of a body condition score system for dogs. Canine Practice, 22(4), 10–15.
Laflamme, D. P. (1997). Development and validation of a body condition score system for cats. Feline Practice, 25(5–6), 13–18.
World Small Animal Veterinary Association (WSAVA). Global Nutrition Guidelines.
Freeman, L. M. (2012). Cachexia and sarcopenia: Emerging syndromes of importance in dogs and cats. Journal of Veterinary Internal Medicine, 26(1), 3–17.
Kealy, R. D., et al. (2002). Effects of diet restriction on life span and age-related changes in dogs. JAVMA, 220(9), 1315–1320.
German, A. J. (2006). The growing problem of obesity in dogs and cats. The Journal of Nutrition, 136(7), 1940S–1946S.