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【獣医師監修】犬が足を舐める理由と指間炎の治し方|自宅ケアと病院治療を完全解説

2025.11.10


「愛犬が足の指の間をずっと舐めていて、赤く腫れてきた」
「舐めるのをやめさせたいけど、どうすればいい?」

当院の皮膚科外来では、こうした相談が全体の約30%を占めます。犬が足を執拗に舐め続ける行動は単なる癖ではなく、指間炎(しかんえん)という炎症のサインです。

この記事では、指間炎の原因から治療法、ご自宅でできる予防ケアまで、飼い主様が本当に知るべき情報を凝縮してお伝えします。


【緊急度別】今すぐ病院に行くべき症状チェック

まず、愛犬の足の状態を確認してください。以下の症状に当てはまる場合、早急な受診が必要です。

🚨 今すぐ〜24時間以内の受診が必要

  • 足を地面につけられない、引きずって歩く
  • 患部から血や膿が出ている
  • 患部が熱を持ち、赤く腫れ上がっている
  • 食欲がない、元気がない
  • 夜通し舐め続けて眠れない
  • 何か刺さっているように見える(異物混入の可能性)
  • 複数の足の指間が同時に腫れている

⚠️ 2〜3日以内の受診を推奨

  • 指の間が赤くなってきた
  • 舐める頻度が日に日に増えている
  • 患部から独特の臭いがする
  • 患部が湿ってべたついている

💡 様子見+予防ケアでOK

  • 時々足を舐めるが、すぐやめる
  • 目立った赤みや腫れはない
  • 食欲も元気もいつも通り

判断基準: 10分以上舐め続ける状態が3日以上続いたら受診のタイミングです。


💬 今すぐ相談したい方へ

LINEで無料相談受付中
「うちの子の症状、病院に行くべき?」「応急処置の方法は?」など、気軽にご相談ください。

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指間炎とは?症状と発症メカニズム

指間炎の定義

指間炎とは、犬の足の指と指の間(指間部)に起こる炎症の総称です。この部位は湿気がこもりやすく、細菌や真菌(カビ)が繁殖しやすい環境にあります。

こんな症状が見られたら要注意

  • 指の間の皮膚が赤く腫れている
  • 毛が抜けて地肌が見える
  • 患部がじめじめと湿っている
  • 独特の臭い(脂っぽい、納豆のような臭い)
  • 血や膿が出ている
  • 患部を執拗に舐める、噛む
  • 痛みで歩き方がぎこちない

重要: 指間炎は一度発症すると慢性化しやすく、再発率が高い疾患です。


指間炎の主な原因

指間炎は単一の原因ではなく、複数の要因が関与します。

1. アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能異常と遺伝的素因が主な原因です。アレルギー反応とは異なるメカニズムで発症します。

アトピー体質の犬は、皮膚が乾燥しやすく外部刺激に弱いため、指間炎を併発しやすい傾向にあります。足の指間だけでなく、脇の下、お腹、内股、関節の曲がる部分などにも赤みや痒みが見られることが多いです。

2. アレルギー反応

特定のアレルゲン(原因物質)に対する免疫反応として指間炎が生じることがあります。

  • 食物アレルギー: 特定のタンパク質(牛肉、鶏肉、小麦、大豆など)に対する反応
  • 環境アレルギー: 花粉、ハウスダスト、ダニ、カビなどに対する反応
  • 接触アレルギー: 草花、洗剤、シャンプーなどに直接触れることで起こる反応

3. 細菌感染(膿皮症)

黄色ブドウ球菌などの常在菌が、皮膚バリア機能の低下により異常増殖。湿った環境が続くと感染が進行し、膿を伴う膿皮症に発展します。

3. マラセチア皮膚炎

マラセチアは犬の皮膚に常在する酵母様真菌です。脂質バランスの崩れや免疫力低下で異常増殖し、患部は赤く腫れ、べたつき、独特の脂っぽい臭いを発します。

4. 異物の混入

散歩中に以下が刺さることがあります:

  • イネ科植物の芒(のぎ):先端が鋭く、逆向きのとげで皮膚内を進む
  • 小石、ガラス片、木片

5. その他(肥満、ホルモン異常、腫瘍)

肥満犬は足指への負担が増加し、指間の摩擦や圧迫で炎症が起きやすくなります。


舐めれば舐めるほど悪化する「悪循環」

指間炎治療の最大の課題が舐める行為による悪循環です。

悪循環のメカニズム

痒み・痛み
 ↓
舐める
   ↓
患部が湿る(唾液)
   ↓
細菌・マラセチアが増殖
   ↓
炎症悪化
   ↓
痒み・痛みが増す
   ↓
さらに舐める → 繰り返し

長期化すると、痒みがなくても「舐める」が習慣化し、行動性の問題に発展します。この悪循環を断つことが治療の最優先事項です。


【重要】絶対にやってはいけない4つのNG行為

❌ 1. 人間用の薬を使用

オロナイン、マキロンなどは犬には危険。舐めると中毒を起こす成分が含まれています。

❌ 2. 異物を無理に引き抜く

深く刺さったり、折れて体内に残る危険があります。

❌ 3. 放置する

「自然に治る」は幻想。悪循環が進行し慢性化します。

❌ 4. 熱いお湯で洗う

炎症を悪化させます。洗う場合はぬるま湯で。

⚠️ 自己判断での対処が不安な方へ
「今の状態で様子を見ていいの?」「応急処置は合ってる?」など、少しでも不安があればLINEでご相談ください。

👉 LINEで症状を相談する


動物病院での治療法(標準プロトコル)

1. 原因別の薬物療法

  • 細菌感染: 抗菌薬(内服・外用)
  • 真菌感染: 抗真菌薬
  • アトピー性皮膚炎: 痒み止め(アポキル、サイトポイントなど)、保湿剤、皮膚バリア機能改善薬
  • アレルギー反応: 抗ヒスタミン薬、ステロイド(重症例)、アレルゲン回避
  • 外傷: 洗浄・消毒・鎮痛剤

2. 薬浴・足浴療法

抗菌・抗真菌シャンプーで週2-3回の薬浴を実施。クロルヘキシジンやミコナゾール配合シャンプーが一般的です。

重要: シャンプー後は完全に乾燥させることが必須。湿ったままでは逆効果です。

3. 足裏・指間の毛のカット

通気性改善と薬剤浸透を高めるため、余分な被毛をカット。特にトイプードル、シーズー、マルチーズなど長毛種で重要です。

4. 舐めさせない対策(最重要)

  • エリザベスカラー: プラスチック製、布製、ドーナツ型など
  • 保護ブーツ・靴下: 患部の直接保護

自宅でできる5つの予防策

1. 散歩後の足のケア(最重要)

必ず実施: 散歩後は濡れタオルで拭くか、水で洗い流す。その後、乾いたタオルで水分を完全に拭き取る。

工夫: 玄関に「足拭きセット」(濡れタオル・乾いたタオル・足拭きマット)を常備。

2. 定期的な毛のトリミング

月1〜2回、足裏・指間の毛をカット。湿気予防と汚れ防止に効果的。

3. アレルギー管理

  • 食物アレルギー: 療法食の継続
  • 環境アレルギー: こまめな掃除、定期的なブラッシング

食物アレルギーが原因の指間炎の場合、適切な療法食の選択が治療の鍵となります。
詳しくは関連記事をご覧ください:
👉 どうぶつの皮膚疾患に効果的な療法食の種類と選び方

4. 散歩の工夫

時間帯: 真夏は早朝・夕方以降。日中の熱いアスファルトは火傷の原因に。
コース選び: 草むらや異物の多い場所を避け、舗装された道を選ぶ。

5. 毎日の足チェック習慣

推奨タイミング: テレビを見ながら、ソファでくつろぎながらのスキンシップタイム。肉球を優しく開いて指間を確認。1日1回、15秒でOK。

チェック項目:

  • 赤み・腫れ
  • 脱毛
  • 臭い
  • 湿り気

指間炎になりやすい犬種

以下の犬種は特に注意が必要です:

  • トイプードル
  • シーズー
  • マルチーズ
  • ゴールデンレトリバー
  • ラブラドールレトリバー
  • フレンチブルドッグ
  • 柴犬

これらの犬種は、足裏の毛が多い、皮膚が敏感、アレルギー体質などの特徴があります。


まとめ:早期発見と適切なケアが鍵

指間炎は正しい知識と対応で改善できる疾患です。

重要ポイント:

  1. 放置すると慢性化し、治療が長期化
  2. 「舐めさせない工夫」が治療の核心
  3. 原因は多様で、自己判断は危険
  4. 毎日の足チェックと散歩後ケアが最強の予防策
  5. 緊急度チェックで受診タイミングを判断

どうぶつ病院47グループのデータでは、早期発見・早期治療を行った場合、95%以上が2週間以内に著明な改善を示しています。


今すぐできる3つのアクション

1. 愛犬の足を今すぐチェック

指の間に赤み・腫れ・臭いがないか確認しましょう。

2. 少しでも不安があればLINEで相談

「病院に行くべき?」と迷ったら、まずはLINEでご相談ください。
経験豊富な獣医師が、症状を伺った上で適切なアドバイスをいたします。

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※相談無料・24時間受付

3. 予防ケアを今日から習慣化

散歩後の足拭き、定期的な毛のカットを生活に取り入れましょう。


「こんなことで相談してもいいの?」という遠慮は不要です。
少しでも気になることがあれば、お気軽にご連絡ください。

愛犬の健康を、一緒に守っていきましょう。


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監修: 名古孟大 獣医師(行徳どうぶつ病院 院長)
最終更新: 2025年11月