2025.11.10
目次
「愛犬が足の指の間をずっと舐めていて、赤く腫れてきた」
「舐めるのをやめさせたいけど、どうすればいい?」
当院の皮膚科外来では、こうした相談が全体の約30%を占めます。犬が足を執拗に舐め続ける行動は単なる癖ではなく、指間炎(しかんえん)という炎症のサインです。
この記事では、指間炎の原因から治療法、ご自宅でできる予防ケアまで、飼い主様が本当に知るべき情報を凝縮してお伝えします。

まず、愛犬の足の状態を確認してください。以下の症状に当てはまる場合、早急な受診が必要です。
判断基準: 10分以上舐め続ける状態が3日以上続いたら受診のタイミングです。
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「うちの子の症状、病院に行くべき?」「応急処置の方法は?」など、気軽にご相談ください。
指間炎とは、犬の足の指と指の間(指間部)に起こる炎症の総称です。この部位は湿気がこもりやすく、細菌や真菌(カビ)が繁殖しやすい環境にあります。
重要: 指間炎は一度発症すると慢性化しやすく、再発率が高い疾患です。
指間炎は単一の原因ではなく、複数の要因が関与します。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能異常と遺伝的素因が主な原因です。アレルギー反応とは異なるメカニズムで発症します。
アトピー体質の犬は、皮膚が乾燥しやすく外部刺激に弱いため、指間炎を併発しやすい傾向にあります。足の指間だけでなく、脇の下、お腹、内股、関節の曲がる部分などにも赤みや痒みが見られることが多いです。
特定のアレルゲン(原因物質)に対する免疫反応として指間炎が生じることがあります。
黄色ブドウ球菌などの常在菌が、皮膚バリア機能の低下により異常増殖。湿った環境が続くと感染が進行し、膿を伴う膿皮症に発展します。
マラセチアは犬の皮膚に常在する酵母様真菌です。脂質バランスの崩れや免疫力低下で異常増殖し、患部は赤く腫れ、べたつき、独特の脂っぽい臭いを発します。
散歩中に以下が刺さることがあります:
肥満犬は足指への負担が増加し、指間の摩擦や圧迫で炎症が起きやすくなります。
指間炎治療の最大の課題が舐める行為による悪循環です。
痒み・痛み
↓
舐める
↓
患部が湿る(唾液)
↓
細菌・マラセチアが増殖
↓
炎症悪化
↓
痒み・痛みが増す
↓
さらに舐める → 繰り返し
長期化すると、痒みがなくても「舐める」が習慣化し、行動性の問題に発展します。この悪循環を断つことが治療の最優先事項です。
オロナイン、マキロンなどは犬には危険。舐めると中毒を起こす成分が含まれています。
深く刺さったり、折れて体内に残る危険があります。
「自然に治る」は幻想。悪循環が進行し慢性化します。
炎症を悪化させます。洗う場合はぬるま湯で。
⚠️ 自己判断での対処が不安な方へ
「今の状態で様子を見ていいの?」「応急処置は合ってる?」など、少しでも不安があればLINEでご相談ください。
抗菌・抗真菌シャンプーで週2-3回の薬浴を実施。クロルヘキシジンやミコナゾール配合シャンプーが一般的です。
重要: シャンプー後は完全に乾燥させることが必須。湿ったままでは逆効果です。
通気性改善と薬剤浸透を高めるため、余分な被毛をカット。特にトイプードル、シーズー、マルチーズなど長毛種で重要です。
必ず実施: 散歩後は濡れタオルで拭くか、水で洗い流す。その後、乾いたタオルで水分を完全に拭き取る。
工夫: 玄関に「足拭きセット」(濡れタオル・乾いたタオル・足拭きマット)を常備。
月1〜2回、足裏・指間の毛をカット。湿気予防と汚れ防止に効果的。
食物アレルギーが原因の指間炎の場合、適切な療法食の選択が治療の鍵となります。
詳しくは関連記事をご覧ください:
👉 どうぶつの皮膚疾患に効果的な療法食の種類と選び方
時間帯: 真夏は早朝・夕方以降。日中の熱いアスファルトは火傷の原因に。
コース選び: 草むらや異物の多い場所を避け、舗装された道を選ぶ。
推奨タイミング: テレビを見ながら、ソファでくつろぎながらのスキンシップタイム。肉球を優しく開いて指間を確認。1日1回、15秒でOK。
チェック項目:
以下の犬種は特に注意が必要です:
これらの犬種は、足裏の毛が多い、皮膚が敏感、アレルギー体質などの特徴があります。
指間炎は正しい知識と対応で改善できる疾患です。
重要ポイント:
どうぶつ病院47グループのデータでは、早期発見・早期治療を行った場合、95%以上が2週間以内に著明な改善を示しています。
指の間に赤み・腫れ・臭いがないか確認しましょう。
「病院に行くべき?」と迷ったら、まずはLINEでご相談ください。
経験豊富な獣医師が、症状を伺った上で適切なアドバイスをいたします。
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※相談無料・24時間受付
散歩後の足拭き、定期的な毛のカットを生活に取り入れましょう。
「こんなことで相談してもいいの?」という遠慮は不要です。
少しでも気になることがあれば、お気軽にご連絡ください。
愛犬の健康を、一緒に守っていきましょう。
指間炎の根本原因がアレルギーの場合、食事の見直しが効果的です。
皮膚トラブルを繰り返すどうぶつには、体の内側からのケアも重要です。療法食の選び方を詳しく解説しています。
監修: 名古孟大 獣医師(行徳どうぶつ病院 院長)
最終更新: 2025年11月