2023.07.21
ようやく梅雨も明け、夏休みにワンちゃんと一緒にレジャーを楽しまれる方も多いと思います。今回は特発性てんかん発作を持っているワンちゃんとお出かけする時に気をつけて頂きたいことについてお話ししたいと思います。特発性てんかん発作については今年の3月にお話ししましたが、脳に腫瘍、炎症、水頭症、脳血管障害などの病変がないタイプのてんかん発作です。お薬でコントロールができている場合は、普通のワンちゃんとほぼ同じ生活が可能です。ところが、普段は発作の頻度が数ヶ月に1回とか、1年に1回あるかないかレベルのワンちゃんでもたまたま旅行先で発作が出てしまう場合があり、これを予想することは困難です。そのため、今回は夏休みにてんかん発作を持ったワンちゃんと遊びに行く時の注意点を挙げてみました。
旅行中でも必ずいつものお薬を持参し、いつも通り服用しましょう!
最近は発作もなく元気なので1、2日くらい薬を飲ませなくても大丈夫!と考えるかもしれません。しかし、どの薬にも「半減期」というものがあります。「半減期」というのは血液中に入ったお薬が代謝や排泄などによって濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。例えば、「この薬は半減期が短いものです」と言われたらお薬が体の中で早く代謝・排泄されてしまう=お薬の効き目が短いことを意味します。お薬も1日2回のものや1回のものもありますが、これらは半減期のことも考慮されています。よって、今まではきちんとお薬を飲んでいたことで、体の中の成分は常に一定量を維持し、発作をコントロールしていたのに、1日飲まなかったことでその状態が崩れ、お薬の濃度が低くなり、発作を起こしてしまうことがあります。
海や川などには入らないようにしましょう!また、目の届かないエリアで自由に散歩させるのはやめましょう!
海や河原でのキャンプや水遊びが大好きなワンちゃんは多いですよね。でも、浅いところだから、と思ってうっかり目を離したら深いところまで進んでいたりすることがあります。そんな場所でてんかん発作が起こったり、浅いところでも発作が起きて鼻と口が水に浸かってしまったら、当然溺れてしまいます。飼い主さんものんびりしたり、お酒が入ってしまうと気が緩んでワンちゃんから目を離しがちです。状況によっては助けに行けるかどうかもわかりません。お庭でのビニールプール遊びも同様です。浅くても要注意です!
また、山のキャンプ場で自由に走り回るのも開放感があって楽しそうですが、飼い主さんから見えない草むらのエリアに入り込んでしまい、そこでてんかん発作が起きたらどうなるでしょう。崖から落ちてしまうかもしれません。普段なら名前を呼べば戻ってくれるワンちゃんでも、てんかん発作が起きたら話は別です。
海、山、河原ではリードをつけ、目の届くところで熱中症に注意しながら一緒に楽しく過ごしましょう!
滞在先近くの動物病院を確認しておきましょう。
滞在先で発作が起こった場合、すぐに治まれば良いですが、長い時間続いてしまうかもしれません。また、環境が変わることでお腹を壊したり、吐いたりすることもあります。旅行先は動物病院の数が少ないことも多く、夏休みで休診の場合もあります。いざというときに診てもらえそうな病院をいくつかリストアップしておくと安心です。
旅行に連れていけるかどうかは、発作の頻度や体調、旅行先によって変わります。あらかじめお薬をもらっている病院の先生に相談してみると良いでしょう。
浦安、行徳近辺でてんかん発作の診断や治療について詳しくお聞きなりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。
行徳どうぶつ病院
神経科担当獣医師
大内 詠子