2024.09.27
うさぎの毛が抜けたりフケが出たりする場合、皮膚糸状菌症の可能性があります。今回は、この病気について詳しくご説明します。
皮膚糸状菌症は、真菌(カビ)が皮膚や被毛に感染して発症する病気で、主な症状は脱毛やフケです。真菌と聞くと、食べ物に付く黒や緑の点々を思い浮かべるかもしれませんが、実際には非常に多くの種類が存在します。私たちの身の回りのあちこちにあり、特に皮膚(角質)を栄養源に増殖するものを皮膚糸状菌と呼びます。人間の水虫も、実は白癬菌による皮膚糸状菌症の一種です。
健康な生き物の体には常在菌が存在し、真菌が皮膚に感染しても免疫力が保たれていれば無症状で経過します。しかし、免疫バランスが崩れると皮膚のバリア機能が低下し、真菌が増殖して発症します。
うさぎの皮膚糸状菌症では、皮膚の赤み、脱毛、フケ、かさぶたなどの症状が見られます。痒がるケースは少ないものの、細菌感染を合併している場合は痒みが強くなることもあります。診断には、患部の皮膚やフケを採取し、顕微鏡で真菌を確認する方法があります。
皮膚糸状菌症は、うさぎの他に犬や猫、そして人間にも感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)の一つです。
主な感染源は、感染した個体との接触や抜け毛、フケなどです。また、カビだらけの場所で遊ぶうさぎや、給水ボトルの水で被毛が濡れたままになることも感染の原因となります。真菌が繁殖している場所を歩いたり、数回遊んだりして少量の菌が付着しても、ただちに感染するケースは稀です。しかし、濃密に接触すると感染リスクが高まります。
ただし、一般的な飼い方をしていれば、うさぎが感染するリスクは低いです。うさぎに触れる人間が感染源になることもあり、飼い主さんの水虫がうさぎに感染して皮膚糸状菌症になるケースもあります。水虫のひどい足でうさぎを撫でたり、水虫の人が脱いだ靴下でうさぎが遊んだりしないよう注意しましょう。
皮膚糸状菌症は、抗真菌薬による治療が行われます。内服薬で全身に投与する方法が主流で、局所治療はうさぎが薬を舐めるリスクがあるため避けられることが多いです。内服薬を1〜2ヶ月続けることで、患部から菌を取り除くことができます。脱毛が広がらなくなれば治療は成功です。ただし、毛が元通りになるには時間がかかることが多いです。
治療と同時に重要なのは、真菌の感染源を特定して遠ざけることです。ケージ内の毛布や家庭内の水虫など、感染源を取り除かないと治療効果が得られません。ケージやうさぎが過ごす場所の消毒が必要になることもありますが、全ての場所を消毒する必要はなく、怪しい場所を1日1回洗うだけで十分です。
皮膚糸状菌症の予防の基本は、感染源に接触させないことです。感染したうさぎと遊ばせない、水虫の人がうさぎに触れない、飼育環境にカビを発生させないことが重要です。うさぎに触れた後は手をきちんと洗えば、人間への感染リスクは低いです。一般的な飼い方をしていれば、特別な予防策は必要ありません。清潔な飼育環境を保ち、バランスの良い食事を与え、ストレスを溜めさせないようにしましょう。
浦安、行徳近辺でうさぎの皮膚糸状菌症について詳しくお聞きになりたい場合は、お気軽に行徳どうぶつ病院グループまでお尋ねくださいませ。
行徳どうぶつ病院
獣医師
陶山 雄一郎