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神経科ブログ⑧ てんかん発作を治療するタイミングっていつ?

2023.06.16


今回はてんかん発作が起こった場合、どのような状況になったら検査や治療が必要なのかについてお話しします。目安としては・・・
1.6か月に2回以上発作がある場合
2.発作重積(※1)や群発発作(※2)が起こる場合
3.発作後の影響が重篤であったり(例えば失明、攻撃性が高い、ボーッとしているなど)、それらの状態が長時間以上続く場合
4.発作の頻度や持続時間が増えてきている。
5.構造性てんかんがある場合(前回のブログをご覧ください)

※1)発作重積:1回の発作が5分以上続く、または正常な意識の回復がない状態で発作が連続する。
※2)群発発作:24時間以内に2回以上の発作が散発すること。

次にてんかん発作はなぜ治療する必要があるのかをお話しします。発作は脳の神経細胞にダメージを与えます。発作重積や群発発作を起こしてしまうと脳に更なるダメージを与え、重大な脳損傷が起こります。これを放置してしまうと発作の頻度が増えるため、重篤度がますます上がってしまい、また、治療にも反応しにくくなります。よって、治療するタイミングが訪れた場合は早急に治療する必要があります。人の医療では抗てんかん薬が数多く存在しますが、ワンちゃん、ネコちゃんに投薬できるものは限られていますので、治療に反応しにくい状況を作ってしまうと発作のコントロールはとても困難になります。

治療の目標としては、発作がゼロになることが一番ですが、次の目標として3か月以上は発作間隔が空けられること、発作重積や群発発作がなくなること、発作の頻度や重篤度を減らすこと、お薬の副作用がない、もしくは許容範囲で投薬していくことを目指していきます。
また、投薬によって発作がなくなってもいきなりお薬をやめてしまうことは絶対にしないでください。このことによりてんかん発作が再発し、今までよりも重篤な発作を引き起こす場合があります。てんかん発作のお薬はそれぞれ効果を現すためのメカニズムが違うものがあることや、服用に注意が必要なものが多いので休薬や減薬を希望される場合は必ず獣医師にご相談下さい。

てんかん発作の診断や治療について詳しくお聞きなりたい場合はお気軽に当院にご相談下さい。

行徳どうぶつ病院
神経科担当獣医師
大内 詠子